2020.08.04
おやすみベートーヴェン 第233夜【作曲家デビュー・傑作の森】
「ピアノ三重奏曲 第6番 変ホ長調」——宿命を背負う《運命》とは表裏、理想を指す3つのフラット
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
ONTOMO編集部
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
宿命を背負う《運命》とは表裏、理想を指す3つのフラット「ピアノ三重奏曲 第6番 変ホ長調」
昨日の「ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調《幽霊》」とセットで書かれたこの作品。全4楽章からなる大作です。
《英雄》交響曲に象徴される変ホ長調を、ベートーヴェンは高貴で勇壮な音楽に好んで使っています。
(中略)
ベートーヴェンは自らを表現する時、ある種の宿命を背負ったかのようなハ短調、そして理想とするようなものを書く時は変ホ長調を用いていたように思えます。♭3つの調の裏表ですね。ハ短調の《運命》、そして変ホ長調の《英雄》や《皇帝》など、完全にそのケースに当てはまります。
——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ 限りなき創造の高みへ』(音楽之友社)51ページより
音楽用語で同じ数のシャープ、フラットの長・短調を「同主調」と呼びますが、3つのフラットはベートーヴェン自身を表していたのでしょうか。ヴァイオリン、チェロとピアノの重厚な音色をお楽しみください。
作品紹介
「ピアノ三重奏曲 第6番 変ホ長調」Op.70-2
作曲年代:1807年暮(ベートーヴェン37歳/38歳)
出版:1808年8月
「ベートーヴェンとピアノ」続巻 2020年6月27日発売!
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