CMによく使われる作曲家といえば? バッハ、ベートーヴェン……それともショパン?
2020.12.16
弦楽五重奏曲断章ハ長調——最終回! 穏やかな雰囲気に包まれた未完の絶筆作品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
1809年作曲のライシッヒ歌曲の1曲。この年に作曲されたライシッヒの詩による歌曲のうち3曲(WoO137~139 )は1810年7月にアルタリア社から出版された『18のドイツ歌曲集』に収められている。
大変に情熱的で、激しい感情表現の見事な作品。「なんという不可思議な日々なのだ、苦悩と歓喜が混ざり合う、体験したことのない心の震えが今、僕の胸中を支配している」いろいろ悩みを告白しながら、最後は「僕の胸は彼女に向けて熱い鼓動を打ち続けている、永遠に。でも、彼女は感じとらない、僕の心がこの目を通して語っていることを」と嘆く。
6節の詩を2節ずつつなげ、3節の有節歌曲として作曲。「激情的な動きをもって」とドイツ語の指示がある。
解説: 平野昭
集中的に作曲されたライシッヒの詩による歌曲。ラストを飾るのは、ベートーヴェンの熱い想いがほとばしる、ストレートなタイトルの作品です。
「恋する男」WoO139
作曲年代:1809年(ベートーヴェン38歳)
出版:1810年 7月