オペラ《フィデリオ》第1幕——2度の大改定を経て、ついに手にした大勝利!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
2度の大改定を経て、ついに手にした大勝利!「オペラ《フィデリオ》第1幕」
初演直後、大改訂を経ても好評に至らなかったベートーヴェン唯一のオペラ《レオノーレ/フィデリオ》。 8年上演されていなかったこのオペラにチャンスがやってきます。ウィーンでの人気が高まっていたベートーヴェンのオペラ作品を再演しようという計画が、劇場運営者たちのあいだで立ち上がっていました。
ベートーヴェンはアン・デア・ウィーンとケルントナートーアの両宮廷劇場を管理していたトライチュケからの再演申し込みを、大幅な改定を加えることを条件に快諾。台本・音楽両方の4ヶ月におよぶ改定作業を経て、最終的なタイトル《フィデリオ》として、1814年5月23日に幕を開けました。
新しい序曲は、パート譜作成とオーケストラ練習が不十分で間に合わず《アテネの廃墟》序曲で代用された。しかし、3日後の再演は新作の《フィデリオ序曲》で幕が開き、まさにこの序曲演奏で「会場を揺るがすような拍手喝采となり、作曲者は2度もステージに呼び出された」。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)143ページより
ついに大勝利を収めたベートーヴェンのオペラ作品。ベートーヴェンも重なる再演の忙しさに愚痴をこぼしつつ、作曲の弟子であったルドルフ大公や皇室関係者に丁寧な招待の手紙を送っています。
明日は第2幕。この作品がこれほどまでに受容された理由を、ベートーヴェンが生きた社会情勢とともに見てみましょう。
オペラ《フィデリオ》決定稿
作曲年代:1814年(ベートーヴェン44歳)
出版:1814年8月
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