プレイリスト
2020.10.01
おやすみベートーヴェン 第291夜【不滅の恋人との別れ】

「ピアノ・ソナタ第27番ホ短調」——弟の借金のために新作を無償提供

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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弟の借金のために新作を無償提供「ピアノ・ソナタ第27番ホ短調」

生涯ピアノ・ソナタを書きつづけたベートーヴェンですが、この27番は「ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調《告別・不在・再会》」以来4年ぶりのピアノ・ソナタ。作品としては平野さんが「ロマンティック・ソナタ期」に位置付け、オペラや声楽作品とも関連する充実したものです。出版成立には、経済的な問題が絡んでいました。

ベートーヴェンは年金収入だけでは解決できない経済的苦境を、作品出版によって改善しようと努める。これまで主要作品はほとんどブライトコップフ・ウント・ヘルテル社から出版してきたが、このころから地元ウィーンのアントン。・シュタイナー社から主に出版するようになる。2年前に弟カールの経済的困窮を援助するために、シュタイナーから1500グルデンを借りて弟に与えていたのだが、カール自身は返済できず、ベートーヴェンが無償で作品を提供することになったのである。ピアノ・ソナタ作品90を無償で提供し、作品91〜97、113、115〜117、136の計12曲の出版権をシュタイナーに譲渡したのである。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)149ページより

弟のために最新作を無償提供するとは、ベートーヴェンの家族思いの一面が垣間見られますね。

譲渡作品の中には交響曲第7番、第8番、ピアノ三重奏曲《大公》、《ウェリントンの勝利》など、近々のベートーヴェンの代表作が含まれていました。シュタイナーはこれらのパート譜やスコアだけでなく、ピアノ連弾や弦楽器だけで演奏できる編曲版も出版。これらの楽譜は作品の普及に大いに貢献し、ベートーヴェンも最終的には大満足だったようです。

作品紹介

「ピアノ・ソナタ第27番ホ短調」

作曲年代:1814年(ベートーヴェン44歳)

出版:1815年6月シュタイナー社

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

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