プレイリスト
2020.10.04
おやすみベートーヴェン 第294夜【不滅の恋人との別れ】

《別れの歌》——転勤する聖職者を朗らかに送り出す三重唱曲

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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転勤する聖職者を朗らかに送り出す三重唱曲 《別れの歌》

1814年4月か5月頃に作曲。詩は、ベートーヴェンの友人の指揮者で作曲家でもあるイグナツ・フォン・ザイフリート(1776~1841年)の実弟ヨーゼフ・フォン・ザイフリート(1780~1849年)によるもの。

 

このころベートーヴェンが難聴の治療を受けていたシュテファン寺院の聖職者で医師のレオポルト・ヴァイス(生没年不詳)が、ウィーンからシュタイアー(オーストリア中部の都市)の寺院に転勤するに際して、ウィーンの市参事会が送別会を催すということで、ベートーヴェンに作曲の依頼があって作られた。

 

テノール2声部とバス声部による無伴奏の男声三重唱曲(あるいは三部合唱曲)。アンダンテ・マ・ノン・トロッポ、4分の4拍子、変ロ長調。3部仕立て。第1部が静かに終わると、中間部となる第2部は、明るく軽快な8分の6拍子のト長調となる。第3部は第1部の変化した再現。

 

別れを惜しみつつ涙するのではなく、むしろ楽しく、おかしく、冗談をこめて大ジョッキで酒を酌み交わしながら友を送り出す。「時が鐘を打つ、俺たちゃ別れなければならない。愛する友よ、いつまでもかけがえのない存在であってくれ、たとえどんなに遠くても、ところがドッコイ、シュタイアーの町はこの世の果てなんかじゃない。そして、もしお前の友が訪ねて行ったら、ドイツ人がいつもするように、客人の健康を祝して大ジョッキで乾杯だ」といったところが大意。

解説:平野昭

楽しい送迎会の様子が目に浮かぶような内容の歌詞ですね。ベートーヴェンは、難聴の治療でお世話になった先生への感謝の気持ちを込めて作曲したのではないでしょうか。

作品紹介

《別れの歌》WoO102

作曲年代:1814年(ベートーヴェン44歳)

出版:1888年

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

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