プレイリスト
2020.10.06
おやすみベートーヴェン 第296夜【不滅の恋人との別れ】

「メルケンシュタイン(第1作)」——風光明媚な古城を思い出し、呼びかける

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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風光明媚な古城を思い出し、呼びかける 「メルケンシュタイン(第1作)」

ヨハン・バプティスト・ルプレヒト(1776~1846)の詩による6行6節からなる有節歌曲。テンポ表記はなく、変ホ長調、8分の6拍子で力強く2回にわたって「メルケンシュタイン」、と呼びかける言葉で始まる。

 

全体は単純な16小節で、何度も何度もメルケンシュタインに呼びかける。メルケンシュタインとはベートーヴェンが好んだ温泉保養地バーデン近郊、風光明媚な山の中腹に建つ古城のこと。

 

大意は「メルケンシュタイン、どこを彷徨っていてもお前を思う、オーロラ(曙光)が岩を赤く染め、藪原ではツグミが明るく鳴く、放牧された家畜たちが散ってゆくとき、メルケンシュタイン、お前を思う!」「蒸し暑く、息苦しい昼に、懐かしくお前の並木を、洞窟を、そして岩の斜面を、お前の涼しさを楽しみたくて、お前を思い出す、メルケンシュタインよ」

 

ベートーヴェンの日記によれば「1814年11月22日に下書きを終えた」ということだ。ただ、作品番号なしで出版されたのは1815年末のアントン・シュトラウス社発行の『ゼラム年鑑』中に収載される形であった。

解説:平野昭

このメルケンシュタイン城は1486年、ハプスブルグ家からオーストリア支配権を勝ち取ったハンガリー王マーチャーシュ一世によって建てられ、1683年にオスマン帝国軍に占領・破壊されて以来廃墟となっていました。森に囲まれた幻想的なメルケンシュタイン城廃墟は、現在も訪れることができるようです。

後日紹介する二重唱と合わせて、ベートーヴェンが2度も曲をつけた「メルケンシュタイン」。よほどお気に入りの場所だったのかもしれませんね。

作品紹介

 「メルケンシュタイン(第1作)」WoO144 

作曲年代:1814年12月(ベートーヴェン44歳)

出版:1815年末

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

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