「25のスコットランド歌曲集」——ウィーン会議開催中に知り合ったリトアニア公国王子に献呈!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
48歳となったベートーヴェン。作品数自体は、これまでのハイペースが嘘のように少なくなります。しかし、そこに並ぶのは各ジャンルの最高峰と呼ばれる作品ばかり。楽聖の「最後の10年」とは、どんなものだったのでしょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ウィーン会議開催中に知り合ったリトアニア公国王子に献呈! 「25のスコットランド歌曲集」
1.音楽、恋そして葡萄酒(合唱付)
2.日暮れに
3.ああ、あの楽しかったとき
4.アイラの娘
5.ジェイミーは最高の若者だった
6.私の目はかすんでゆく
7.素敵な人、ハイランドの若者
8.インヴァネスの可愛い乙女
9.ごらん、愛しい人、あの緑の森を(ニ重唱)
10.同情(シンパシー)
11.ああ、あなたこそ私の心の人、ウィリー
12.ああ、お前と運命がひとつなら
13.杯を満たせ、良き友よ(合唱付)
14.ああ、どうして陽気でいられよう
15.ああ、残酷なお父様
16.この忌まわしい世に
17.ああ、メアリー、窓辺に来ておくれ
18.魅惑の人よ、さようなら
19.美しい小船が軽やかに(合唱付)
20.誡実なジョニー
21.ジーニーの悩み
22.ハイランドの監視兵(合唱付)
23.羊飼いの歌
24.今一度、わたしの竪琴よ
25.私達の通りに住むサリーは
ベートーヴェンは、イギリスのジョージ・トムソン出版社からの依頼によって、多くのスコットランド民謡やアイルランド民謡を編曲している。その主な仕事内容は、ピアノ三重奏の伴奏を作曲することであったが、もとの民謡や歌曲を二重唱や三重唱する、独唱に合唱を加えるといったさまざまな編曲もしている。
1818年出版のロンドン版に4年遅れとなるが、英語原詩とドイツ語訳の歌詞を併記して、1822年7月にライプツィヒのシュレジンガー社から出版された唯一の作品番号付きドイツ出版である。この曲集は、プロイセンのルイ・フェルディナンド皇太子の妹ルイーゼ皇妃と結婚したリトアニア公国王子アントニー・ヘンリク・ラジヴィル(1775~1833)に献呈されている。1796年にベルリンでベートーヴェンと会った可能性もあるが、これは記録がない。しかし、1814/15年のウィーン会議開催中にラジヴィルがウィーンに滞在しており、親交が始まっていた。
解説: 平野昭
すでに数多くの民謡編曲を紹介してきましたが、今日紹介するのは唯一、作品番号付きでドイツで出版されたものです。ピアノとヴァイオリンとチェロが楽しい民謡を彩ります。
詩は、ウィリアム・スミスやロバート・ジョーンズが書いたもので、第12曲は『チャイルド・ハロルドの巡礼』や『マンフレッド』の作者として知られるジョージ・バイロン卿によるものです。
「25のスコットランド歌曲集」Op.108
作曲年代:1818年まで(ベートーヴェン48歳)
出版:1818年(ロンドン)、1822年(ドイツ)
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