プレイリスト
2020.11.10
おやすみベートーヴェン 第331夜【最後の10年】

「ディアベッリのワルツ主題による33の変奏曲」——“靴屋の皮の切れ端”とからかった主題から生まれた異常な多彩さ

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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“靴屋の皮の切れ端”とからかった主題から生まれた異常な多彩さ「ディアベッリのワルツ主題による33の変奏曲」

ピアノ・ソナタとともに、ベートーヴェンが生涯作曲し続けてきたピアノ独奏のための変奏曲。今日の作品、通称「ディアベッリ変奏曲」が、人生最後の変奏曲です。

作曲家で出版業者であったアントン・ディアベッリ(1781~1858)が創設した「ディアベッリ出版社」の最初の出版物の企画として、ベートーヴェンに依頼が来ました。それは、ディアベッリが作曲したメロディを、ウィーンで活動している50人の作曲家が、1曲ずつ変奏し、まとめて出版するというもの。ベートーヴェンもその1人に選ばれたのです。

平野 彼(ベートーヴェン)はディアベッリの書いたワルツ主題を、「靴屋の皮の切れ端みたいなもの」と言ってからかいましたし、もともとあまりやる気はなかったのですが、筆を進めるとどんどん数が増え、結果的に33曲も書いてしまいました。ディアベッリとしては、「他の人の作品と一緒にはできない」としてベートーヴェンの作品を独立させたのでしょう。

——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ 限りなき創造の高みへ』(音楽之友社)104ページより

結局ベートーヴェンの作品の1年後に出版された、50人の作曲家による変奏曲。中にはベートーヴェンの弟子であるルドルフ大公やチェルニーのほか、リスト、シューベルト、フンメル、ウェーバーなど錚々たる顔ぶれが並んでいます。

小山 当然と言えば当然なことでしょうが、これだけのメンバーが集まって書かれた50の変奏曲よりも、ベートーヴェンの33曲の方が革新的でアイディアに満ちたものであるということ……ですね。

平野 作曲家50人のものが当時の変奏音楽の「平均」だとすれば、ベートーヴェンのものは「異常」とも言えるものになっていますね。ひとりだけでこれだけ多彩なものを書いてしまうというのは、本当にすごいです。

——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ 限りなき創造の高みへ』(音楽之友社)105ページより

作品紹介

「ディアベッリのワルツ主題による33の変奏曲」

作曲年代:1819年、22~23年4月(ベートーヴェン49歳〜52歳)

出版:1823年6月

小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ 限りなき創造の高みへ』(音楽之友社)
ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

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