プレイリスト
2022.08.26
ただいまショパン第12回

華麗なる変奏曲 変ロ長調 op.12――人気作曲家の遺作をテーマに作曲

ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

イラスト:本間ちひろ

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華麗なる変奏曲 変ロ長調 op.12

この作品は1833年に作曲出版されたもので、テーマはエロールを追悼して関西上演されたオペラ《リュドヴィク》のアリアだ。(中略)貴族たちは社交場でもあるオペラ上演にこぞって出かけた。そこできいたアリアをショパンがピアノ曲にしたのだから、サロンの話題をさらったことだろう。

——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)211ページより

出版された作品では、ショパン唯一のピアノ独奏用の変奏曲です。録音が聴けない時代、流行りの音楽を何度も楽しむために、ピアノ編曲作品が重宝されており、この作品もその流れを汲むものです。

テーマに選ばれたメロディは、フランスの作曲家で、主にバレエやオペラで活躍したフェルディナン・エロールの未完成の遺作を、ジャック・アレヴィが補筆した《リュドヴィク》から第1幕のアリア「わたしはスカプラリオを売っている」です。

 

フェルディナン・エロール(1791〜1833)
パリに生まれ、没した作曲家。代表作にオペラ《ザンパ》、バレエ音楽《ラ・フィーユ・マル・ガルデ》がある。

《リュドヴィク》がオペラ・コミック座で初演されたのは1833年5月16日。1834年の暮れまでに70回上演されたという記録があるので、ショパンが1833年中に作曲・出版したときには、話題の人気作だったのでしょう。

作品はバミューダ副総督を務めたジョージ・ホースフォードの娘で、ピアノの生徒だったエマ・ホースフォードに献呈されています。

作品紹介

華麗なる変奏曲 変ロ長調 op.12

作曲年代:1833(ショパン23歳)

出版:1833年

献呈:Emma Horsford

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