ワルツ 変ホ長調《華麗なる大円舞曲》Op.18――ワルツ初出版! ウィーンでの経験からしばらくワルツを発表しなかった?
ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ワルツ 変ホ長調《華麗なる大円舞曲》Op.18
ショパンのワルツ作曲は生涯の全般にわたり、その数は手稿譜が失われたものも含めて20曲以上にのぼるが、しかしどういうわけか生前出版されたものはわずか8曲だ。最初のワルツ出版はというと、パリの生活をはじめた3年後の1834年まで待たねばならない。
ワルツ出版が遅れた経緯には、ウィーンでのよく知られた出来事が関係しているかもしれない。20歳で希望に胸をふくらませて滞在することにした2度目のウィーンでは、演奏する機会は容易には手にできなかった。自分の音楽が望まれていないのは、人々の趣味がシュトラウス・ファミリーのワルツだからだと手紙に書いている。ワルツを自分の作曲のレパートリーとする気持ちがこのウィーンでの経験で失せたのではないだろうか。
しかし、やがてはじまったパリ生活のなかでショパンはワルツを発表しはじめる。彼独自の「踊らないワルツ」は、気品と洗練を好むサロンに集う優雅な人たちの耳をうばった。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)187ページより
この作品が書かれたのは、パリ生活が軌道に乗ってきて、ノクターンやマズルカ、エチュードを集中的に作曲していた時期です。ウィーンとパリでは、観客の好みや反応も全然違ったのですね。
献呈されたのは、ショパンの弟子の一人、ジョージ・ホースフォード将軍の令嬢、ローラ・ホースフォードです。
ワルツ 変ホ長調《華麗なる大円舞曲》Op.18
作曲年代:1831~32(ショパン21〜22歳)
出版:1834年
献呈:Laura Horsford
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