プレイリスト
2022.11.16
ただいまショパン第35回

ピアノソナタ第2番 変ロ短調『葬送行進曲付き』 Op.35――ノアンに到着! 出版社にイライラ?

ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

イラスト:本間ちひろ

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ピアノソナタ第2番 変ロ短調『葬送行進曲付き』 Op.35

第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールでの川口成彦さんの演奏

1839年2月にマヨルカ島を発ち、マルセイユに滞在した後、1839年6月1日にショパンとサンドはパリではなく、サンドが所有する館があるノアン(現在の正式名称はサントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏アンドル県ノアン=ヴィック)に到着します。

ドラクロワ作『1840年のノアンの館』

ショパンは「ノアンの館」の2階、日当たりの良い部屋に住みました。最初こそ「田舎は素晴らしい」とノアンを称賛していましたが、少しすると田舎暮らしに退屈していたようです。

この地で書き上げた作品の出版交渉をするのは、パリにいる友人のフォンタナでした。

《ソナタ》第2番変ロ短調、《即興曲》第2番嬰ヘ長調、《ノクターン》ト長調、《スケルツォ》第3番嬰ハ短調、《マズルカ》嬰ハ短調、ロ長調、変イ長調を次々と完成させて、フォンタナに楽譜出版社と交渉してほしいと書いた。(中略)しかし、ショパンの思惑どおりに出版社が動くことは少なかった。プレイエルからは出版で損害を与えられ、ユダヤ人シュレザンジェのやり方は気分が悪いと、フォンタナに書いた。

——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)124−125ページより

シューマンが「乱暴な4人の子どもをソナタの名前で無理やりくくりつけた」と評した意欲的なソナタ第2番は、こんなノアンの地で完成しました(第3楽章の有名な「葬送行進曲」は1837年作曲説あり)。

曲の性質もあってか、作品は誰にも献呈されていません。

作品紹介

ピアノソナタ第2番 変ロ短調『葬送行進曲付き』 Op.35

作曲年代:1837-39(ショパン27-29歳)

出版:1840年

献呈:なし

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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