「2018楽器フェア」にお笑いコンビ・みちばたコンサートが突撃!
チェロ弾き(らむ)と尺八を吹く虚無僧(こむそう.com)からなる、楽器芸人コンビ「みちばたコンサート」。東京ビッグサイトで開催された『楽器フェア』で、親しみのある楽器や未体験の楽器まで、ありとあらゆる楽器にチャレンジしてきた模様をチェロ担当・らむがレポート。
音楽好きの祭典? いや、楽器人のための祭典だ!
10月中旬、ONTOMO編集部のジャンヌダルクことY女史からの連絡。「週末に楽器フェアがあるから行かない?」
ちょうどその日までにはかわいい彼女ができて週末は街ぶらデートをする目算があったのだが、残念ながら妄想の見通しが甘かったようで即答でOKせざるを得なかった。
その週末は、編集部Y女史、カメラマンのカゴちゃん、そしてコンビの相方こむそう.comを連れ、4人で東京ビッグサイトに向かった。
「2018楽器フェア(以下、楽器フェア)」は国内外の楽器メーカーや音楽団体のブースが一堂に会する、今年で50周年を迎えるイベントである。もともとこのイベントをミュージシャンの友人から「楽器フェアはすごいぞ!」と噂を聞いていたが、実際に会場について驚いた。
会場規模がでかい! 来場者が多い! 至る所でライブやデモンストレーションが行なわれて熱気がすごい! まさにお祭り状態である。
そしてなんといっても楽器フェア最大の楽しみは、各ブースで展示されている楽器のほとんどを実際に弾かせてもらえることである。
鳴らしてびっくり! 300万円のハープ
会場に入りすぐに我々の目を奪ったのは青山ハープ㈱のブースだ。そこにはコンサートホールやテレビでしか見たことがない、あの大きなハープが3台鎮座されていらっしゃった。ハープの迫力とオーラに圧倒されるONTOMO一行。いいや負けるな、そうだここは触れて楽しめる楽器フェアだぞ!
「ハープ弾いてもいいですか?」
もう、一生、墓場に入るまでに言うことはないだろうパワーワードで道場破り成功。
ハーピストの美人なお姉さまから、一からハープの弾き方を手ほどきをいただく。
“ハープ=女神が優雅に演奏する楽器”と思っていたが、それが幻想であることにすぐ気が付いた。弦の張力がかなり強く、しっかりと指を引っ掛けなければならないのだ! チェロ的に言うと、毎回フォルテッシモのピチカートをしなければいけない感じである。ちょっと指が痛いが、ハープが振動するだけで高揚する。なんとも美しい音色、響き……楽しい、ちょっと欲しくなってきたぞ!
このハープはいくらですか? 思わず不躾な質問が出てしまった。
「今弾いているのが300万円、隣のは450万円です」少し耳が遠くなったような気がした。
足元には7つのペダルがある。このペダルはなんですか? ふっふっふ、と言わんばかりのお姉さまがおもむろにペダルを踏む。「じゃあドを鳴らしてください」
―ド#~♪
あれ、半音上がった!?
「この7つのペダルで、ドレミファソラシのそれぞれの音を半音上げ下げできるんです」
なーるほど、だから7つあるのか! なので、演奏中は手も足もフル稼働だそうな。
「だからハープって実は忙しい楽器なんですよ~」
女神はやさしく微笑んだ。
もはや伝統工芸品。職人の魂のこもったオカリナ
オカリナ普及協議会のテーブルには艶やかなオカリナが並んでいた。相方は尺八吹きでもあるので、同じ笛であるオカリナには興味津々だ。聞くと、このオカリナは焼き物職人が作っている作品とのこと。資料として職人たちが窯の前で火と格闘している写真があった、なんとも凛々しい。一つウン万円もする作品たちは、焼き物なので当然落としたら割れてしまう。慎重に扱わせてもらった。
「では虚無僧さんには落としてもいいように、1500円のプラスチックのオカリナをどうぞ」
ブース担当さんのナイスな采配である。確かに籠を被った怪しいやつに高価なものは渡せまい。ちなみに僕は13,000円の高価なオカリナを吹かせてもらったぞ!(自慢)
オカリナはイタリア語で小さいガチョウという意味だそうで、確かにシルエットはそれに見える。そしてガチョウの表面には指で押さえる穴が8つある。これをほぼ順番通りで押さえていくと音階が吹ける。
簡単なメロディならすぐに演奏できてしまった! これなら子どもでもすぐに覚えられる、なんとも教育現場にぴったりな楽器だ。
オカリナの音色はとても優しい。ピッチやリズムがどうとか細かいことを忘れ、ただ音色が体にしみ込んでくる感覚であった。
火と土からメロデイが生まれる――音楽の神秘を垣間見られた気がした。
お琴はテレビを見ながら弾ける時代
北菱電興株式会社のブースでは「NEO‐KOTO輝」の演奏会が開かれていた。食いついたのは邦楽大好きな相方のこむそう.comである。彼は少しだけお琴を弾いたこともあるそうで、なかなか上手に弾いていた。
なんでもNEO‐KOTO輝、は従来のお琴が全長約180cmとすると半分ほどのサイズで、非常に取り回しが良くなっている。そしてデザイン細部がかなりポップな感じだ。
ギターを持っている人なら誰しも「テレビ見ながらギターをながら弾き」ということをやったことがあるだろう。これはギターの取り回しの良さゆえのあるあるだ。立てかけてあるギターをパッととって何となく弾くそれである。
そんな気軽な練習を、お琴でも実現させたのがこの楽器である。担当の琴奏者さん曰く「リビングにNEO-KOTO輝を立てかけておいて、いつでも気軽に弾いてほしい」とのこと。確かに全長180cmの琴は、練習する際にスペースを作ってから楽器を出さなければならない。大きな楽器はなかなか大変だ。しかし、このNEO‐KOTO輝ならなんともお気軽である。
「すごいチューナーがついてる!」相方が気が付いた。なんと楽器本体の中に電子チューナーが内蔵されていたのである。しかも、邦楽で使用される各調子も簡単に調弦できる親切設計である。
邦楽で使用される楽器は、とりわけ参入のハードルが高いように感じる。難しそう、よくわからないというイメージ。それを払拭しようとするメーカーの心意気と努力が感じられる楽器だった。中学高校の音楽の授業でこの楽器をぜひ習ってみたかったものだ。
未来のみちばたコンサートはぜひヤマハの協賛で!
楽器フェア会場内でも、特に広いブースを展開していたのが、皆さんご存知ヤマハである。取り扱っている楽器が多岐にわたることが、ブースのボリューム感から伝わる。
ブース内をぶらついていると、なんとエレキチェロを発見!!
これはチェロ弾きとしては弾かざるを得ない。あぁ……これがあれば僕のボロマンションでもサイレントにチェロ練習ができるなぁ、とただただ欲しくなった。
相方は「Venova(ヴェノーヴァ)」という、カジュアルな管楽器に夢中に。これは何とも簡単にサックスのようなサウンドが出せる楽しい楽器だ。見た目のかわいさとは裏腹にちゃんとリードが使われており、楽器としての奥深さも感じさせる。
未来のみちばたコンサートは、ぜひエレキチェロとヴェノーヴァでやってみるかな、と妄想し楽しくなった。ヤマハさん、そこんとこ本当によろしくお願いします!! 本当に、本当に。
そしてどこかで聴いたことがある音色に誘われてブース内を移動すると、なんとピアニカの展示が! 懐かしいぃ~!
「大人のピアニカ」と銘打たれたそのピアニカたちは、大正琴を彷彿とさせるシックな色合いだった。
もちろん吹かせていただく。まず気が付いたのは、ピアニカがかなり小さくなっていたこと。……いや、いつのまにか僕が大人になっていただけだった。子どものころはピアニカが重かったような気がしたが、実は片手で余裕で持てる楽器であることに気づく。
そして……何とも柔らかい音が出る!! しかも、かなり繊細な音の強弱が出せる。
子どものころ経験したあのピアニカの「プピー」といった音とはまったくの別物だった。表現力を秘めた「楽器」であった。ぐふふ、これはお笑いライブでもネタで使えるな……と思ったのでしっかりパンフレットを頂いた僕らだった。
楽器フェアは本当に一日では遊びつくせないほどのボリュームだ。
このレポート以外にも各所で楽器の体験やミニレッスンを受けさせてもらった。街の楽器屋ではハードルの高い試奏も、ここでは関係ない。小さい子どもからプロまで、みんな音を鳴らして笑っていた。そしてすべてのブースが、その楽器人を増やそうと努力していたことが印象的だった。
楽器はただ音が鳴るだけでも楽しい、という価値を再認識できた。ずいぶん前のことだが、きっと僕がはじめてチェロを鳴らしたときもこうだったはずだ。
将来僕に子どもが生まれたら、絶対、楽器フェアに連れてこようと思う。好きなだけ楽器を触らせて、そこで興味を持った楽器を与えたい。音が鳴る幸せを教えたい。それには早いとこ僕は音楽も芸も磨き、人気芸人になってたくさん稼がなければとも思った。
もし子どもがハープを欲しがっても、すぐに買ってあげられるように。
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