レポート
2020.05.30
井内美香の「カプリッチョな音楽手帖」vol.8

ミラノ・スカラ座がGoogleとコラボ! 超貴重なアーカイブを楽しもう

井内美香
井内美香 音楽ライター/オペラ・キュレーター

学習院大学哲学科卒業、同大学院人文科学研究科博士前期課程修了。ミラノ国立大学で音楽学を学ぶ。ミラノ在住のフリーランスとして20年以上の間、オペラに関する執筆、通訳、来...

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スカラ座に「どこでもドア」で潜入しよう!

今、世界中オペラ・ハウスこれからどのように再開していくかという問題を抱えていますミラノ・スカラ座も223日から劇場を閉鎖中で、公演再開の予定としては、今年9月にシャイー指揮のヴェルディ《レクイエム》をドゥオーモ広場で、そのあと劇場でベートーヴェンの「第九」を演奏という予定は発表されていますが、オペラについてはまだこれからです

そんな中、スカラ座は5月7日にGoogle Arts & Culture」とのコラボレーションを発表劇場のヴァーチャル・ツアーを始めました

必要なのはスマホやパソコンなどのデバイスだけ。すぐにスカラ座の中に飛び込むことができます。劇場で仕事をしている人しか入れないエリアや、貴重な資料などを、いつでも好きなだけ探索できるようになったのです。なんて素晴らしい……

さっそく見てみましょう。まずはGoogleマップを使った劇場訪問です。客席部分に関しては、1階席(平土間)、2階中央のロイヤルボックス、桟敷席、そして天井桟敷席を訪れることができます。

客席全体を見回して気がつくのは、桟敷席のいくつかに、かつて貴族が所有していた時代の名残として、当時の装飾(壁にかけられた鏡、床のタイル等)を保存してあることです。そして、席によって舞台の見え方がまったく違うことにも驚きます。

桟敷席(ボックス席)からの眺め。

それから、普段、観客として見ることができないエリアを見学するのも楽しいです。

マリア・カラスがその輝かしいキャリアを築いた舞台から、客席はどう見えていたのか? 舞台上で歌手にセリフを教える「プロンプター・ボックス」から見える舞台風景は?客席天井にある巨大シャンデリアの上から客席を見下ろすと……? 実際には行くことが不可能な場所を訪れるのは最高に楽しい!

プロンプター・ボックスから眺める舞台。このプロンプター・ボックスがどこに設置されているかは、ご自身で確かめてみてください!

スカラ座の驚異的なアーカイヴを開放

もうひとつ驚くのが、このオンライン・ページにはスカラ座に関係する、肖像画、デザイン画、アーティストの写真、舞台写真などの資料が、なんと24万枚以上アップされていることです。しかも、アトランダムに並んでいる画像を、コレクションの右上にある「並べ替え」の時計マークをクリックすることで、時系列に並び替えることが可能です。一枚一枚の画像は拡大して見ることができるので、肖像画の細部などをいくらでも堪能できます。

いかがでしょうか? ほかにも衣裳の展示、スカラ座にまつわるストーリーなどコンテンツはいくらでもあります。ぜひスカラ座の魅力に浸ってください。気をつけなくてはならないのは、いくらでも見てしまうことです。ご利用はくれぐれも計画的に(笑)。

伝説の歌手たちの写真もたっぷりと用意されている。
スカラ座が所有しているモーツァルト、ベートーヴェン、ロッシーニ、ヴェルディなど大作曲家の自筆譜も閲覧可能。
井内美香
井内美香 音楽ライター/オペラ・キュレーター

学習院大学哲学科卒業、同大学院人文科学研究科博士前期課程修了。ミラノ国立大学で音楽学を学ぶ。ミラノ在住のフリーランスとして20年以上の間、オペラに関する執筆、通訳、来...

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