チョウの生態から子どもたちが表現した色や音とは? 美術と音楽のワークショップ
生物を題材にした子どものためのピアノ曲集を作るために、音楽之友社と作曲家の春畑セロリさんが企画した、題して『いきものスケッチブック』プロジェクト。
生き物とアートのスペシャリストも講師にお招きし、ワークショップを通じて、参加した子どもたちに表現のアイデアをもらおうという試みです。
第2回のテーマはチョウ(蝶)。美しい標本や生態から子どもたちがイメージしたチョウの色や音とは?
蝶をテーマにしたピアノ曲を聴いて、その姿を想像する
ステキなピアノ曲集の作曲でお馴染みの春畑セロリさんが、生き物のことを考えながら、音や色を使って、子どもたちに自由な想像・創造をしてもらうプロジェクト『いきものスケッチブック』。
ワークショップ2回目のテーマは「チョウ(蝶)」です。今回も生き物の研究者・蝦名元(えびな・つかさ)先生、そして色や形を描いてステキに表現する方法を教えてくれるものづくり教室主宰・秋田彩子(あきた・あやこ)先生と一緒にスタート。
まずは、子どもたちにピアノの音を聴いてもらいました。
セロリさんがみんなに演奏を聴いてもらったのは、ピアノ曲集『ゼツメツキグシュノオト』から、「リュウキュウウラボシシジミ」。沖縄に生息する、とっても小さな可愛い蝶々です。
みんなにはまだ、どんなタイトルのどんな蝶の曲なのかはナイショ。
作曲家。東京藝術大学卒。鎌倉生まれ、横浜育ち。
舞台、映像、イベント、出版のための音楽制作、作編曲、演奏、執筆、音楽プロデュースなどで活動中。さすらいのお気楽者。
主な著作に「ゼツメツギグシュノオト」「オヤツ探険隊」「空をさわりたい」「できるかな ひけるかなシリーズ(全7冊)」「連弾パーティー・シリーズ(全5冊)」「きまぐれんだんシリーズ(全6冊)」(以上、音楽之友社)、ピアノ曲集「ポポリラ・ポポトリンカの約束」「ぶらぶ〜らの地図」(全音楽譜出版社、CDは日本コロムビア)、こどものためのピアノ曲集「ひなげし通りのピム(カワイ出版)」などがある。
演奏が終わって、セロリさんが「みんな、どんな蝶々を思い浮かべた?」と聞いてみると、
「黄色くて小さい蝶々。途中でアゲハ蝶に変身した」
「虹色の蝶々」
「涼しい感じがした」
などの声があがりました。
「わたしも、小さい黄色い蝶々が浮かんだな〜」という秋田先生。子どもたちの発言に「わかる!わかる!わたしも」と共感を寄せてくれます。
ものづくり教室主宰。東京藝術大学美術学部芸術学科卒。2014年、Qinari(キナリ)研究所設立。子どもたち一人ひとりが、アートのみならずあらゆる物事を自分で考え表現できるように、様々な素材や技術、文化や価値観に触れ、様々な世界に出会える時空間を提供している。2019年からは自然の中での体験と美術制作を融合させる軽井沢出張所も不定期開催中。
まずは蝶の世界を知ろう
ここで蝦名先生から、蝶々についてお話してもらいました。
「○○シジミという名前の蝶は、お味噌汁のしじみ貝が飛んでるみたいに、小さい羽を素早く動かして飛んでいます。小さいから、けっこう飛ぶスピードも速いんです」
一般財団法人 進化生物研究所 研究員・学芸員。東京農業大学・佼成学園女子中学高等学校・東京農業大学稲花小学校 非常勤講師。博物館・科学館等での展示・講座など、科学の楽しさや生きものをテーマにイベントも実施。
著書:『生きものラボ! 子どもにできるおもしろ生物実験室』(講談社)、『今を生きる古代型魚類-その不思議なサカナの世界-』(東京農業大学出版会・共著)、『群れ MURE 群れるって美しい。』(カンゼン・共著・監修)、教育情報誌『たのしい学校』(大日本図書・連載中)。
「ところでみんなは、蝶はいったい何種類くらいいるか知ってますか? 今日本で記録されている蝶だけでも250種類もいます。世界ではなんと1万7600種以上。まだまだこれから新しく発見される可能性も大きい生き物です」
現在知られている生き物は、175万種類もあるそうです。その半分が昆虫なんだとか。研究がとても進んでいるそうです。
蝦名先生が見せてくれるスライドで、蝶の体の構造や、それぞれの働きなどについても教わりました。
ここで、とってもキレイな標本が登場! 蝦名先生が持ってきてくれたのは、「世界で一番美しい」と言われている、モルフォチョウの標本です。鮮やかなブルーの色には、子どもたちも「うわ〜」とうっとり。角度によって色が微妙に変わります。
こちらは雄で、キラキラ目立っても敵から逃れて強く健康だゾ! と、メスにアピールする色なんだそうです。日なたのキラキラ状態から急に日陰に入って姿をくらましたり、キラキラで鳥などの天敵を驚かすなどの効果も考えられているそうです。羽の裏側は渋い茶色。ちなみにメスは、表も裏も茶色なんですって。
落ち葉みたいな色で身を守る「コノハチョウ」、世界最大級の「ゴライアストリバネアゲハ」(強そうな名前!)など、世界には色とりどりの、いろんな形、いろんな大きさの蝶がいることを教えてもらいました。
どんな色で蝶を描く?
ここからはみんなで、好きなように蝶の絵を描いてみます。秋田先生がみんなのために鉛筆や絵の具やクレパスを用意してくれました。
「自分で考えた空想の蝶でもいいよ。その場合は名前をつけてね」とセロリさん。
参考に配られた蝶の写真を見たり、標本をじっくり見たりして、とっても繊細に描く子もいれば、
自分で想像した蝶を描いて、裏・表それぞれに色を付ける子もいます。
電気が流れる「電気チョウ」、ユニークな「おっぱいちょう」、チャーミングな「もねこちょう」が誕生!
ヒラヒラと舞う蝶の羽の動きについては、最近のカメラの発達のおかげで、研究が進んでいるそうです。動画も蝦名先生にみせてもらいました。絵の参考になるかな?
ピアノの音で表現した蝶のイメージとは? セロリさんの音のモチーフも公開
「音を出してみたい子は、ピアノの周りに来てね。蝶々を音で表現してみよう」
蝶々の羽ばたきは、2つの音を交互に弾いてトリルのように表したい子たちがいました。高い方で弾いたり、低い方で弾いたり、2匹がバトルしてるみたいに弾いたり。
重音をふわふわと綺麗に弾いてくれる子たちも。セロリさんが優しいハーモニーを添えてくれました。
第2回ワークショップ「チョウ(蝶)」の模様を動画でもご覧ください!
私たちの身の回りで羽ばたく蝶々にも、すご〜くたくさんの種類がいて、いろんな蝶々を想像・創造することもできるんですね。
生き物って楽しい! そんなことをみんなで音と色で味わうことができました。
セロリさんの音のモチーフ
日時/テーマ: 3月27日(日)
10:30~11:45 Class1「サル」
13:00~14:15 Class2「ペリカン」
15:00~16:15 Class3「カエル」
会場: 東京・表参道 ※詳細はお申し込み後に連絡いたします
講師: 春畑セロリ、秋田彩子、蝦名元
料金: 各回 3,000円(税込)※当日現金にてお支払いください
定員: 各回 10名
申し込み先・問い合わせ: 音楽之友社 出版部楽譜課
メール ontomo.shuppan.yt@gmail.com Fax.03-3235-5731
[メール/Faxの記載事項:参加者氏名、電話番号、ご希望のクラス]
※複数のクラスの受講も可能です
※本ワークショップにはWebマガジン「ONTOMO」の取材が入ります。お子さんの個人情報が特定されないようにしたうえで、顔や作品がWeb上に掲載される可能性があることをご了承ください
※本ワークショップは、2023年に出版予定の子ども向けのピアノ曲集『いきものスケッチブック』の関連企画です。参加した子どもたちの音のアイデアをピアノ曲集に掲載する可能性がありますことをご了承のうえ、お申し込みください
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