レポート
2026.10.15
海外クラシックNEWS~from イタリア

アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭が過去最高の売り上げを記録

9月のイタリアの音楽シーンからレポートとニュースをお届けします。

野田和哉 Kazuya Noda
野田和哉 Kazuya Noda

東京生まれ。明治大学文学部を卒業後、1983年からイタリア在住、ピアチェンツァのG・ニコリーニ音楽院声楽科を卒業。30年以上前に『音楽の友』への執筆を始め、現在にいた...

アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭はイタリアの夏の風物詩だ © Fondazione Arena di Verona

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9月12日に閉幕したアレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭は今シーズン過去最高の売り上げを記録し、その総額は約3700万ユーロ、昨年に比べほぼ100万ユーロ増となった。

1913年に始まったこの音楽祭は毎年世界中から多くの聴衆を惹きつけているが、6月半ばから9月半ばまで約3カ月の間に一流の出演者が次々と登場する音楽祭は、いまでは夏の欠かせない話題となっている。とくにこの夏は他の地域と同様にヴェローナも酷暑に見舞われ、公演のみならず稽古も大変であったことは想像に難くない。その暑さにもめげず多くの人々が野外オペラを堪能したというのだから、たいへん喜ばしい成果であることはまちがいない。

外国から訪れる聴衆を国別に見ていくと、最も多いのはドイツ人だという。これは地理的な条件が大きく影響している。ヨーロッパの地図を見ていただくとわかる通り、ミュンヘンからまっすぐ南に下っていくと、オーストリアのインスブルックを経てアルプスを越え、ヴェローナにいたる。したがってヴェローナをはじめガルダ湖の周辺は、昔からドイツやオーストリアからヴァカンスに訪れる人が多いのだ。その他イギリス、アメリカ、スペインなどの聴衆がどれも10パーセント以上の伸びを示している。いっぽう、年齢別に見ていくと、全体の約11パーセントがアンダー30歳だという。これも大変ポジティヴな傾向として受け止められる。ここ数年、どの劇場もなんとかして若年層の聴衆を獲得しようと様々な努力をしているので、この成果は他の劇場にとっても、重要な参考になるだろう。

ラ・スカラTVが9月から無料で配信

ミラノ・スカラ座の公演を配信するラ・スカラTV(LASCALATV)は2023年に開始されたサーヴィスで、これまでは演目ごとに有料で視聴することができたのだが、これが9月から無料で配信されることになった。ただし試聴するために登録が必要なのは従来通り。内容はこれまで上演されたオペラ、コンサート、バレエの他に教育用のコンテンツもある。また新たなコンテンツも順次加わるので、ときおりチェックしておくとよい。アクセスはごく簡単で、スカラ座のサイトwww.teatroallascala.orgからLASCALATVの項をクリックするだけだ。後は登録すれば好みのコンテンツを試聴できる。

 

ヴィラ・ヴェルディ、ムーティ等の呼びかけでようやく改修がはじまるか

ヴィラ・ヴェルディ
いまや廃墟のようになったヴィラ・ヴェルディ

ピアチェンツァとパルマの間のサンタガタにあるヴィラ・ヴェルディ。ヴェルディの子孫たちが自力で維持するための合意にいたらず、現在は国の所有になっているが、その荒廃した状況はそのままになっていた。筆者は国による買収の少し前、現地に行ってみたことがある。敷地の周りには高い柵があって外からでは状況を確認できなかったが、すぐ近くにある観光バスも停まれる広い駐車場は荒れはてており、まことに寂しい雰囲気であった。この状況を見かねたリッカルド・ムーティがヴィラの前で小さなコンサートを行うことを企画したが、政府からは許可が降りなかった。理由は建物の痛みが激しく参加者の安全を保証できないということだったらしいが、この報道があったその日のうちに事態が一転し、結局演奏が行われることになった。

コンサート当日9月12日のインタヴューでムーティは「これはコンサートではありません。現状を憂える音楽家たちがヴィラの前に集まり、早急な改修を訴える場なのです。これまでの政府の対応は、右派、左派にかかわらずひどいものでした。そこでわれわれがここに集まり、早急な改修の実現を訴えるのです。ここは聖地であり、神殿ともいうべき場所です。ヴェルディは音楽界のミケランジェロです。今夜ここに3人の大臣が出席していることは大変重要な成果といえます」と述べ、アレッサンドロ・ジューリ文化大臣は「ほどなく工事が始まるでしょう」と答え、正確な開始時期は明言しなかったが、準備が始まっていることを明らかにした。当夜のイヴェントに参加したのはミケーレ・ペルトゥージ(Bs)、ルカ・サルシ(Br)、ジョヴァンニ・サーラ(T)、ダミアーナ・ミッツィ(S)、マーラ・ガウデンツィ(Ms)。ムーティはピアノ伴奏であった。

野田和哉 Kazuya Noda
野田和哉 Kazuya Noda

東京生まれ。明治大学文学部を卒業後、1983年からイタリア在住、ピアチェンツァのG・ニコリーニ音楽院声楽科を卒業。30年以上前に『音楽の友』への執筆を始め、現在にいた...

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