台湾で最も由緒あるオーケストラ 国立台湾交響楽団が初来日「音楽で日台の架け橋に」
初来日となる国立台湾交響楽団の演奏会(2023年10月16日)が、東京オペラシティコンサートホールにおいて行なわれた。当初、2020年東京オリンピックへの祝意を込めて来日を予定。新型コロナウイルスの影響から延期となり、ようやく開催が実現した。
東京都出身。執筆活動をつうじてクラシック音楽の振興に努め、長年、『音楽の友』の演奏会批評を担当。新聞への寄稿、CDやDVDのライナーノート、演奏会のプログラムノート、...
90年近い歴史を誇り、日本の音楽家との交流も
楽団団長を務める劉玄詠(ソワンヨン・リウ)は、初来日にかける思いを日台の架け橋になりたい、と力強く語ってくれた。
「音楽は、世界共通言語で日本の皆さんと心を通わせることができます。今回、日本との関わりが深い台湾に我々の誇れるオーケストラがある、ということを皆さんにお伝えし、交流をより深めたいと思います」
また楽団は、90年近い歴史があるという。
「1945年の設立ですが、前身の楽団を含めるとさらに10年ほどさかのぼり、台湾でもっとも由緒あるオーケストラです」
現在、首席客演指揮者としてシンガポール交響楽団音楽監督を務めた水藍(ラン・シュイ)を迎え、楽団をいかに魅力あるものにしていくかに取り組んでいる。
「マエストロとは、ここ10年ほどご一緒しています。バロック音楽から古典派、ロマン派、そしてリヒャルト・シュトラウスのほか、ベートーヴェンの交響曲ツィクルスも行なっています。またアーティスト・イン・レジデンスとして、年4回ほどライナー・ホーネックさんをお招きし、指揮のほか弦楽セクションの指導もお願いしています」
さらに日本の音楽家との交流も図っているという。7月にチェリストの堤剛、9月はピアニストの児玉麻里と共演、11月には大植英次が指揮台に立った。
明るい響きと躍動感あふれる運びに惹きこまれる
本公演で指揮を務めたのは、2010年「グスタフ・マーラー国際指揮者コンクール」で優勝し、欧州の歌劇場を中心に活躍するアイナルス・ルビキス。
幕開けは、グリンカの「《ルスランとリュドミラ》序曲」にはじまり、国立台湾響の明るい響きと躍動感あふれる運びに惹きこまれる。次いで、2015年「チャイコフスキー国際コンクール」第2位(最高位)の曾宇謙(ユーチン・ツェン)が、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」を卓越した技巧と高い芸術性で聴衆を魅了。
後半では、ラフマニノフ《交響的舞曲》に加えて、台湾を代表する《望春風》などの民謡を織り込んだ「台湾民謡《音楽百年》組曲」(張菁珊 編)を披露し、台湾の多元的な文化が彩りを添えた。
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