レポート
2024.07.08
ブロードウェイ・ミュージカルを氷上で楽しむフィギュアスケートの魅力

進化を続けるプリンスアイスワールド 構成・菅野こうめいが語る意外な難しさとは?

日本で唯一のプロスケーターチームによる「プリンスアイスワールド」。抜群のチームワークのよさ、高い技術から繰り出されるシンクロナイズドスケーティング、斬新かつ画期的な演出、荒川静香や高橋大輔&村元哉中、宇野昌磨をはじめとする豪華なゲストスケーターの出演などで、長年フィギュアスケートファンを魅了しつづけている。
そんな日本でもっとも歴史の長い「プリンスアイスワールド」の2023/24、2024/25シーズンの横浜公演を振り返りながら、魅力を紹介していく。

取材・文
鈴木啓子
取材・文
鈴木啓子 編集者・ライター

大学卒業後、(株)ベネッセコーポレーションに入社。その後、女性誌、航空専門誌、クラシック・バレエ専門誌などの編集者を経て、フリーに。現在は、音楽、舞踊、フィギュアスケ...

写真:佐藤 圭、鈴木啓子

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日本でもっとも歴史の長い、 アイスショーの先駆者

2024/25シーズンで45年目を迎え、日本でもっとも長い歴史を持つ「プリンスアイスワールド(以下PIW)」。1978年に、オリンピアンで世界選手権銅メダリストの佐野稔を中心に、約50名のプロフィギュアスケーターによって開催された日本初のアイスショー「VIVA! ICE WORLD」が前身で、1988年に現在の「プリンスアイスワールド」に改称された。

PIWの特長はなんといっても、総勢25名・日本唯一のプロスケーターチーム「プリンスアイスワールドチーム」を擁し、息の合ったパフォーマンスを終始堪能できるところにある。また、伊藤みどり、荒川静香、本田武史、高橋大輔、浅田真央、羽生結弦、宇野昌磨、鍵山優真など日本を代表するスケーターたちから、ハビエル・フェルナンデスやネイサン・チェンなど海外のトップスケーターがゲスト出演するところも魅力のひとつといえるだろう。

プリンスアイスワールドチームによる『ジーザス・クライスト=スーパースター』より「Superstar」。照明、映像、衣裳など視覚的にも楽しめる演出(2024/25 横浜公演)
©Keiko Suzuki
2022年の四大陸選手権でアイスダンス日本勢史上最高順位の銀メダルを獲得した、村元哉中&高橋大輔による《Love Goes》。高いダンススキルと息の合った演技で観客を魅了(2023/24 横浜公演)
©Kei Sato
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多彩な演出も見どころで、第7回(1984年)には「孫悟空」をテーマに初めてスケート劇に、第9回(1986年)は氷上ミュージカル「スーパージャンプ牛若丸」に挑戦するなど、早くからフィギュアスケートの新しい可能性を広げてきた。

2014年からは構成・演出を演劇界で活躍する演出家・今村ねずみが、昨シーズンからはミュージカルの演出やブロードウェイ・ミュージカルの翻訳・演出などを手がける菅野こうめいが担当。ほかにも、フィギュアスケートのみならず、舞踊、音楽に造詣の深いことでも知られる國學院大學准教授の町田樹が昨年よりアンバサダーを務めており、PIWの見どころとフィギュアスケートの魅力を熱く語るトークショーも目玉となっている。

荒川静香による『キャッツ』より「Memory」。滑らかなスケーティングと高い柔軟性が美しいナンバーと見事に調和していた(2023/24 横浜公演)
©Kei Sato
織田信成による『キンキーブーツ』より《Hold Me in Your Heart》《Sex Is in the Heel》。織田がもつ明るさとコミカルさ、スピード感溢れるスケーティングで、キンキーブーツの世界観を見事に表現(2023/24 横浜公演)
©Kei Sato

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