彩の国さいたま芸術劇場の2023年度ラインナップが発表
埼玉県さいたま市の「彩の国さいたま芸術劇場・埼玉会館」。先日、2023年度のラインナップ発表記者会見が行なわれた。
現在、振付家・ダンサーの近藤良平が芸術監督に就任し、《クロッシング》をテーマに〈ジャンル・クロス〉〈人々がクロス〉〈地域とクロス〉しながら、アートを結びつける展開を進めている。
近藤の就任から2年目のラインナップでは、昨年秋から始まった彩の国さいたま劇場の大型改修を好機と捉え「埼玉回遊」が始動。「さあ、出かけよう。」の合言葉のもとに埼玉県内各地へと飛び出して、さまざまなプログラムを展開する。県内の人・モノ・場所・衣食住にまつわる文化を人づてに訪ねて学ぶフィールドワークを重ね、そこで出会った人たちと各地域でライブパフォーマンスを行ない、映像作品にして残す企画だ。
「埼玉の5地域、それぞれ最低でも5つのイベントに関わりたいと考えている。それらを集めて、2024年3月のリニューアルオープン後の〈特大号!〉で発表する予定。自分の中で大きなプロジェクトで、来年度以降も続けてたいと考えています。これは、『埼玉の新しい民族誌を編む』という心意気で行なっていきます」(近藤)
2024年度にスタート予定の新シアターグループ設立に向けて、昨年から展開していたワークショップも各地に出張。10月には「プロムナード・コンサート」が川越に登場、劇場が誇る小型のオルガン「ポジティフ・オルガン」も劇場の外で楽しめる。
名物企画の「彩の国シェイクスピア・シリーズ」は充電期間とのことだが、「ランチタイム・コンサート」や、「大塚直哉レクチャー・コンサート」、NHK交響楽団による公演などは埼玉会館で行なわれる。
近藤率いるコンドルズの最新作「POP LIFE」、人気劇作家・藤田貴大による「めにみえない みみにしたい」、リトアニアのダンセマ・ダンス・シアターによる「カラフルパズル」、イスラエルのバットシェバ舞踊団の来日公演など、近藤ならではのプログラムが並ぶ。
3月、リニューアル後のさいたま芸術劇場では、ノゾエ征爾の新作、埼玉回遊〈特大号!〉、金川真弓(ヴァイオリン) & 小菅 優(ピアノ) デュオ・リサイタル、ノエ・スーリエ 「The Waves」と目玉企画が目白押しだ。
「さぁ出かけよう。というシンプルなコンセプトは、コロナ禍が落ち着いた今、劇場の外に飛び出して、楽しく、未来に向かって挑戦してみたいという思いが込められている。みなさんとつながり、もう一度出会いたい」(近藤)
近藤が描き出す「埼玉の芸術の地図」は、どんなふうに拡がっていくのか、目が離せない。
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