
山田和樹と岡田利規が、新芸術監督に就任&2026年度ラインナップ発表!

4月1日に東京芸術劇場にて、同劇場芸術監督舞台芸術部門の岡田利規氏と、音楽部門の山田和樹氏の就任会見が行われた。併せて、2026年度のラインナップも発表された。今回から新たに音楽部門の芸術監督を設け、2氏による新体制で活動していく同劇場は、舞台芸術と音楽の枠にとらわれず、対話を通じて新しい表現を生み出すことを目指すという。
今回会見が行われたロワ―広場は、開放的な空間が特徴のパブリック・スペースであり、一般のかたも見物可能であったことからも、社会に開かれた劇場としての役割を果たしていきたいという姿勢が垣間見られた。

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
芸劇ならではの個性あふれるラインナップ!
まず、新芸術監督2氏と吟味し、決定した2026年度ラインナップが、同劇場副館長の鈴木順子氏より発表された。両氏の芸術監督就任記念公演として、山田氏が型破りな超大作である水野修孝《交響的変容》(5月10日)を指揮。8月7~23日には、ドイツのハノーファー州立劇場で5月に初演を迎える岡田氏の最新作『Sliding Away』の日本版『映画を撮りたいゾンビの演劇』を上演する。
注目の舞台芸術公演として、音楽と舞台芸術が融合し、子どもから大人まで楽しめる「タクト・フェスティバル」は、ゴールデンウィークに開催される(4月29日、5月2~5日)。黒木華主演による、ティモフェイ・クリャービン(演出)がイプセン『人魚の家』を現代ふうにアレンジした『NORA』も必見だ(7月15~26日)。また、今年もダンスやワークショップなど、国内外の多様な舞台芸術作品の上演や、人材育成を目的とした舞台芸術祭「秋の隕石 2026 東京」が10月9日~11月3日に行われる。
音楽部門では、さらなる創造発信を目指して始動する新プロジェクト「山田和樹&東京芸術劇場 交響都市計画」の1つとして、日本音楽界の第一線で活躍する演奏家たちによる、演奏とトークを交えたコンサート「山田和樹プロデュース∞シリーズ 名手の履歴書」を5月9日に開催。記念すべき第1回では、東京都交響楽団フルート奏者の小池郁江が登場する。日本全国の劇場・音楽堂、芸術団体などが制作を行い、新演出のオペラを作り上げるプロジェクト「全国共同制作オペラ」では、ヴェルディ「歌劇《イル・トロヴァーレ》」(新制作)を上演(11月21日)。首都圏の音楽大学が熱演を繰り広げる「音楽大学オーケストラ・フェスティバル」(11月23、29日)や、現代音楽を中心とした「ハミダシ・フェス」(2027年2月6~7日)にも注目だ。
そのほか、芸術による社会共生・人材育成を目指した演劇ワークショップや、芸劇舞台芸術アカデミーなども展開される。
岡田利規、山田和樹 新芸術監督就任への決意
新芸術監督就任にあたり岡田氏は、芸術の力を信じ、舞台芸術を通して芸術が現実に対する応答であることを明確にしたいと思いを述べた。

「公共施設によって行われる芸術の実践には、現実に対しての応答が強く要請されると考えています。 いまの社会やそれに対する芸術の応答が、このままでよいとは思えないのです。
私がチャレンジしたいことは、舞台芸術がこの社会という現実に届いていく文脈に変動を引き起こすことです。 舞台芸術はすでに一定に機能していると思いますが、芸術が現実に向けての応答や打ち返しであることが明らかであると、いま以上に言い張れるようになるために、どれだけ本気で考え、実践できるかという課題を自分自身に課したいと思います。プロフェッショナルの力を集結した舞台作品を制作し、上演することでも応答していきますが、社会や地域の問題への応答として、ワークショップ形式のプロジェクトなども、東京芸術劇場の大きな取り組みの一つとして行っていきたいです。
劇場の芸術監督をするということは、さまざまな人々とともに仕事をすることを意味します。コンセプトや基本姿勢を職員と共有していくと同時に、職員の労働環境についても真剣に考えたいです。
山田さんがご提案された『はみ出すハーモニー』というすばらしいフレーズがあるのですが、 音楽と舞台芸術のコラボレーションを積極的に企画していきたいです。 なにせ、はみ出そうとしているわけですから。 舞台芸術と音楽、とりわけクラシック音楽は、文化の違いによる考えかたや、常識の違いがとても大きく、ほとんど異文化コミュニケーションのようなものです。 与えられた時間のなかで、粘り強くベストを尽くしたいと思います」
オンラインで参加した山田氏は、今回から始動する「交響都市計画」や「ハミダシ・フェス」を例に、社会にホールの存在意義を証明する重要性を訴えた。

「社会に自分たちの存在意義を証明していかなければならない時代に変わり、都市のなかにおける計画として『交響都市計画』を考えました。『交響』は英語に訳すと『シンフォニック』となりますが、響きが交わるという漢字が素敵だなと思い、『ハーモニー』と読みたいと思います。 『ハーモニー』という言葉は、もともとは接着剤という意味で、異なるものをくっつけることを意味したそうです。いまの時代にとても必要なことで、そのような役割を音楽をふくめたさまざまな分野で東京芸術劇場が率先して、『交響都市計画』を通して企画していきたいと思います。
ハーモニーを芸劇の中だけでなく、どんどん外にもはみ出させていきたいという発想から、『ハミダシ・フェス』という現代音楽のフェスティバルも新しく行います。キャンバスからはみ出さなければいけない、爆発しないといけないというのは岡本太郎さんの言葉ですけれども、 芸術の根本ですね。 この『はみ出し』という言葉も1つのキーワードにして、取り組みたいです。
数あるすばらしいホールのなかで、東京芸術劇場はコンサートホールと演劇のホールがあって、多様な空間がそろっているというのは、いまでも珍しいんですよね。 そこを老若男女問わず、さまざまな世代のかたが集まり、活動ができる場にしなければいけない。 以前、武満徹さんが東京オペラシティを作るときに『人が集うこと自体に意味があり、人間性や社会性を復帰する場がホールである』というお言葉を残されていて、まさしくそうだなと思います。 最終的には芸劇がもっとその役割を果たせるように、これから頑張っていきたいです」
芸術の真価を問い、東京から世界へ発信していく東京芸術劇場の取り組みに注目だ。
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