
ウィーン・フィル団員の姿も!ニューイヤー・コンサート合間に現地で流れた見事な映像

オーストリアの1月の音楽シーンから、映像やコンサートについてレポートします。
2026年元日に行われたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤー・コンサートについては『音楽の友』2月号でレポートしたが、あとから録画で見たところ、休憩時間にテレビで流れた映像(監督:アレックス・ヴィーザー)もそれに劣らずすばらしかった。日本ではその時間に別の趣向のものが放送されていたようなので、この場を借りてご紹介したい。
オーストリア放送協会は、例年この休憩のため、25分ほどのショートフィルムを製作している。世界中で流れることを想定し、オーストリアの文化遺産や豊かな自然が魅力的に映し出される。2026年は『芸術の魔法――アルベルティーナ・コレクション250年』という題で、ウィーン1区の美術館「アルベルティーナ」がテーマとなった。
アルベルティーナが閉館したあと、館内を女性の夜間警備員が巡回し、清掃員、修復家、館長などとすれ違うのがメインの筋書き。個性的な職員たちは、モネからカンディンスキーに至るまでのアルベルティーナ所蔵の作を見つめるうちに、幻想世界にいざなわれていく。
清掃員がクロード・モネ『睡蓮の池』を見ていると、いつしかそれが絵にそっくりな「クロード・モネの庭」(ウィーン22区)の景色に。池のほとりや橋の上ではウィーン・フィルのメンバーが絵に合う色の服装でラヴェル《序奏とアレグロ》を演奏している。ジョセフ・ワウラによるカフェハウスのスケッチからは、クライスラー《ウィーン風小行進曲》が流れる同時代のカフェに飛ぶ。ヴァイオリンの生演奏を提供しているヤメン・サーディがセピア色のよい味を出し、タイムスリップした心地。
ワシリー・カンディンスキー『コンポジション』からは、スリリングなプーランク「六重奏曲」第1楽章へ。アンドレアス・グロルの写真『リヒテンシュタイン宮殿』はモーツァルトがリヒテンシュタイン家のために書いた「セレナード第12番」と組み合わされたが、ウィーン・フィルの管楽器奏者たちがレトロな衣裳や髪型で吹き、演奏姿も絵になっていた。
圧巻だったのは、ヤーコプ・アルト『アウグスティーナーバスタイ』の絵がアルベルティーナの建物になり、その館内で演奏されたハイドン「弦楽四重奏曲第77番」第4楽章! 古きよきウィーン流のクァルテットを聴ける機会は次第に減りつつあるのだが、4人の奏者がホモゲーン(均質)な格調高い名演だった。演奏は、アンドレアス・グロースバウアー、ホルガー・タウチャー=グロー(vn)、セバスティアン・フューリンガー(va)、ペーテル・ソモダリ(vc)。
リンツ州立音楽劇場で、新たなファミリー・オペラ《マディータ》上演
1月6日には、リンツ州立音楽劇場でヴィクトル・オースルンドの新作オペラ《マディータ》を観た。マディータ(スウェーデン語では「マディケン」)は、『長くつ下のピッピ』などの著者アストリッド・リンドグレーンが創作した小さなヒロイン。リンツ州立劇場の委嘱作品のため、基本的にはドイツ語だ。2025年12月6日に初演され、現時点では7月までの上演が予定されている。

「推奨年齢8歳以上のファミリー・オペラ」と銘打たれてはいるものの、子供向けのやさしい音楽とはいえず、上演時間も休憩ふくめ2時間半ほど。新たな響きがたっぷり詰まった本格的なオペラだったが、ちらほら見かけた小さな子供が騒いだりせず終演時まで残っていたのには感心した。
舞台(エリーザベト・ペドロス)は絵本の世界のようにカラフルで、衣裳(イヴォンヌ・フォルスター)もそれに合わせたデザイン。演出(グレゴール・ホレス)はストーリーに忠実にその核心へといざなうもので、身分社会や貧富の差による偏見などに純粋な子供の視点で鋭い疑問を投げかけた。出演は、イングマー・ベック指揮リンツ・ブルックナー管弦楽団、ジョージア・クーパー(マディータ)、アントニア・ベテアグ(リサベット)ほか。
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