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2020.06.19

3種の楽器を操る『阿古屋』文楽と日舞、珠玉の芸を配信中!

高橋彩子
高橋彩子 舞踊・演劇ライター

早稲田大学大学院文学研究科(演劇学 舞踊)修士課程修了。現代劇、伝統芸能、バレエ、ダンス、ミュージカル、オペラなどを中心に執筆。『The Japan Times』『E...

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文楽『壇浦兜軍記』阿古屋琴責の段の映像が、2020年6月30日(火)12時まで国立劇場のYouTubeチャンネルで配信されている

この作品の歌舞伎版は以前、連載(音楽は嘘をつかない? 舞台上で3種の楽器を演奏する女方の難役! 十二月大歌舞伎『阿古屋』でご紹介した。今回はその人形版というわけだ。

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本作は、傾城(けいせい/遊女)の阿古屋が、恋人である平家方の武将・悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)の行方を、源氏方から詮議される様子を描いたもの。

景清の居場所を知らないとする阿古屋の言葉の真偽を確かめるため、秩父庄司重忠は彼女に楽器を弾くことを命令。まずは琴、次に三味線、そして胡弓を弾きながら、阿古屋は真実を伝えるのだった。

文楽なので、楽器は三味線弾きが舞台横の“床”で実際に演奏し、人形遣いがそれを人形で再現。3人で1体の人形を動かす文楽の人形遣いのうち、メインである“主遣い”の桐竹勘十郎が見せる、あたかも本当に人形が演奏しているかのような動きは必見。

なお、この役を遣うのは非常に難しいため、通常は顔を隠して主遣いをサポートする左遣い、足遣いも顔を出す。映像で左を使っているのは吉田一輔、足は桐竹勘次郎だ。音楽と深い関わりをもつ名作と、珠玉の芸を味わってほしい。

さらに先ごろ、日本舞踊「宗家藤間流」の宗家・藤間勘十郎も自身のYouTubeチャンネルに本作の舞踊版の映像をアップ。

こちらは衣装やかつらを着けない“素踊り”で、実際に勘十郎が楽器3種を演奏している。彼もまた、連載で紹介した歌舞伎俳優と同じく、坂東玉三郎から勧められてこの役を演じたという。

ぜひ文楽と日本舞踊を見比べて楽しみたい。

高橋彩子
高橋彩子 舞踊・演劇ライター

早稲田大学大学院文学研究科(演劇学 舞踊)修士課程修了。現代劇、伝統芸能、バレエ、ダンス、ミュージカル、オペラなどを中心に執筆。『The Japan Times』『E...

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