ケルティック・ハープってどんな楽器? 松岡莉子が語る奥深い世界
2022.03.17
生まれ変わる街の景色を眺めながら、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲を聴く
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
2020年の最後の日は、フォトエッセイ更新日の木曜日となりました。
「不安」という心情を、おそらくだれもが抱くことになった2020年ですが、その「不安」というのもいろいろと、日々、グラデーションのように、性質が移り変わるのを、きっとだれもが味わったのではないでしょうか。
ナポレオン軍に包囲されたウィーンで、ベートーヴェンは何を思いながらオペラ《フィデリオ》を初演したのだろう。
ナチス軍に包囲されたレニングラードで、心のうちをどう保ちながら、ショスタコーヴィチは交響曲第7番を作曲したのだろう。
大戦によって崩壊してゆく祖国の街並みを見つめながら、晩年のリヒャルト・シュトラウスは何を思って《メタモルフォーゼン》を書き続けたのだろう。
大きな不安、見えない未来を前に、芸術家たちが振り絞ったエネルギーは、100年、200年の時を経て、今もなお息のかよった音楽として生き続ける。
人は、音楽は、強い。
2021年は光差す一年となりますように。
どうぞみなさま、よいお年をお迎えください。
フォトエッセイより、この作品を贈ります。
フィンランドの作曲家、エイノユハニ・ラウタヴァーラ(1928〜2016)の交響曲第7番「光の天使」から第3楽章です。