ドビュッシーの音楽が描く、心に沁み入る雪の情景
2022.03.17
生まれ変わる街の景色を眺めながら、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲を聴く
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
銀座の街を歩いていましたら、自分の姿にうっとりしているような天使に出会いましたよ。周りのことなんて見えなくなっているご様子。ここだけ、恍惚とした時間が別に流れているかのようでした。
ところで、芸術家や作曲家には、自分大好きナルシストな人が多いような気がいつもしています。
作品を聴いていてそれがヒシヒシ伝わるのは、例えばリスト。「かっこいいオレ様、ロマンチックなオレ様、素敵なオレ様」感が目白押し。
スクリャービンの音楽なども「こんな色彩感、こんな空気感をまとった音楽を書けるのはオレだけ」感がビシビシきます。
今日は、そんな彼らのナルシスティックな音楽をリンクしようかとも思いましたが、やめてしまいました。というのも、「天使」を題材とした音楽に、写真のムードにピッタリな曲があって、避けられなかったのです(苦笑)。
それはアストル・ピアソラ(1921〜1992)の名曲「天使のミロンガ」です。
ピアソラの音楽には、「ナルシシズム」よりももっと根源的かつ普遍的な人間の悲哀や情熱のようなものを感じるのですが、そんな人々の悲哀そっちのけで、自分の姿に見入っている天使の図とも合ってしまう気がして、不思議です。
じわじわと都会的な雰囲気が増してゆく演奏です。