読みもの
2022.11.13
毎月第2土曜日更新「クラシック専門ライターの音楽界トレンド・ウォッチ」

メタバースでオペラを楽しむ時代が到来!? ニーノ・ロータのオペラ公演が第一歩

クラシック音楽界でいま気になるヒト・コトを、音楽専門ライターの視点から解説!

城間 勉
城間 勉

1958年東京生まれ。子どものころからピアノを習ってはいたが、本当にクラシック音楽に目覚めたのは中学生時代にモーツァルトの魅力に触れてから。バレンボイム&イギリス室内...

奏楽会が発表したNFTアート《Kawaii Meta Collage》

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最近目にするメタバースって何?

最近、目にすることが多くなった「メタバース METAVERSE」という用語。ゲーム好きの人にならお馴染みだが、自分の分身であるキャラクター(いわゆる“アバター”)をインターネット上での仮想空間で活動させることで、テレビやYouTubeでけっこう紹介されているから、観れば、ああ、これね、とわかる人も多いと思う。

この「メタバース」という用語は実は造語で、META(超)とUNIVERSE(世界)を合わせたもの。いまや色んな分野での活用が進められていて、エンタメ以外にも、ビジネス界でも重要になっていくとのこと。仮想空間上にオフィスを構築し、会議したり商談もできる。

アバター同士での会議はアニメチックな光景に思えるが、すでに行なっている企業もあるそう。実際どういうメリットがあるかは用途次第だと思うけど、新聞社でも組織的に専門的なプロジェクトとして研究されているようだ。上記以外に教育関係においても活用されるとのこと。

世界的ヴァイオリニストの五嶋龍も語る、Web3と芸術の将来

このメタバースが、クラシック音楽やアートの世界と接近しつつあるのだ。研究しているのが、ほかならぬ世界的ヴァイオリニストの五嶋龍。ハーバード大学で物理学を修めた彼は、起業家として活躍する一方、「Otodojo Nodes」のプロジェクトマネージャー・共同制作者として参画するNFTアートの《 「渦巻」ジェネシス 》を発表した。

この10月にはVenture Café Tokyoで、ニューヨークの五嶋龍とOpera meets MetaverseプロジェクトでNFTアート《 Kawaii Meta Collage》を発表した奏楽会の武井涼子、そして《 Kawaii Meta Collage》のアーティストのカズシ・フジイをアメリカと日本をオンラインで結んでのトークイベントにおいて、メタバースをはじめとした最新技術であるWeb3と芸術についての将来的な展望が意欲的に語られた。

五嶋龍が運営するOtodojo NodesとKawaii META Collageのパートナーシップについてはこちら

 

上:《「渦巻」ジェネシス 》を発表した五嶋龍(左)と、《 Kawaii Meta Collage》を発表した奏楽会の武井涼子(右)、NYにて。右:Venture Café Tokyoで行なわれた五嶋龍、武井涼子、カズシ・フジイをオンラインで結んだトークイベントの様子

すこぶる面白そうなことが起きそうな予感。クラシック音楽教育がとてつもなく楽しくなる可能性もあるし、ひょっとして、自分(アバター)が仮想空間の中で、オーケストラとコンチェルトを弾く、あるいはオペラ歌手として舞台に立つ時代も到来するかもしれない(これはダンスやバレエにもいえる)。

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