読みもの
2023.05.22
「クラシック専門ライターの音楽界トレンド・ウォッチ」

ヴァイオリニスト8名に質問!ヴァイオリンの名器との出会いが音楽をどう変えたのか

昨年もストラディヴァリウスの“ダ・ヴィンチ”という楽器が高額で落札されるなど、ヴァイオリンの名器への関心は衰えることがありません。名器の美しい響きは名手が弾くからこそ響く――。そこで、「ストラディヴァリウス」「アマティ」「グァルネリウス」を弾いている8名のヴァイオリニストにアンケート! 名器との関係性や自身の音楽性に与えた影響を、自由にお答えいただきました。

城間 勉
城間 勉

1958年東京生まれ。子どものころからピアノを習ってはいたが、本当にクラシック音楽に目覚めたのは中学生時代にモーツァルトの魅力に触れてから。バレンボイム&イギリス室内...

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ヴァイオリンの名器を名手の演奏で聴く快感

ここのところヴァイオリン協奏曲の実演を何度か聴く機会が続き、どのステージでもヴァイオリニストたちの音楽性とテクニックに圧倒される日々が続いたのですが、その中でもとくに印象的だったのが、金川真弓さんの演奏でした。

とくに3月25日の「名曲全集」(ミューザ川崎シンフォニーホール)でのコルンゴルトの協奏曲(オケは東京交響楽団)。彼女は前回のチャイコフスキー国際コンクールで第4位入賞後、注目を浴びいまやソリストとしてひっぱりだこのアーティスト。いまさら彼女の音楽性云々について語る必要がないのですが、あとでプロフィールを眺めていたら、彼女が弾いている楽器がストラディヴァリウス「ウィルヘルミ」ということを知りました。

その音色はハッとさせられる輝きと艶を備えていた。とくに高音での響きにはこの世のものと思えないスリリングな快感すら覚えたものです。しかも音量があり、名手が名器を扱うとこうなるのだと実感した次第。作品自体も、ほんのわずかにウィーン世紀末の薫りを湛えながらも現代的で歌に満ち、ヴァイオリンの魅力を最大限に生かせる傑作だったせいもあるのですが。

 

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ということで、今年になってからずっと気になっていたヴァイオリンの名器について書いてみたいと思います。正月になると芸能人たちの“格付け番組”でヴァイオリンの名器のブラインドテストはもはや定番コーナーとなっていますね。

5月末から6月にかけては、ベルリン・フィルのメンバーによる「ストラディヴァリウス サミット・コンサート2023」の全国ツアーへの注目度は相変わらず高いものがある通り、ヴァイオリンの名器への関心は衰えるばかりか、高まりすらみせているようです。現時点でストラディヴァリウスは世界に約600挺現存しています。

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