松竹ブロードウェイシネマ『パリのアメリカ人』を鑑賞しました。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
こんばんは、ONTOMO編集部のざっきーです。
先週、松竹ブロードウェイシネマ『パリのアメリカ人』を鑑賞してきました。
2019年の劇団四季公演でご覧になったかといるかと思いますが、フランス語の訛りの英語、英語訛りのフランス語、時にはロシア語など、各言語の特徴を生かした言葉遊びを楽しめるのは、ブロードウェイ版ならではです。
1週間たってもその熱が冷めず、ポケットスコアを購入して『パリのアメリカ人』をループする今日この頃です。
歌もバレエも素晴らしい作品でしたが、特に印象的だったシーンは、リズがバレエ団のオーディションを受けるシーン。ここでは、ガーシュウィンの《3つの前奏曲》第2曲が流れます。途中までは原曲通りピアノで演奏されますが、リズが踊りだすシーンからクラリネットが加わり、彼女の踊りに、周囲の人々が心酔していることが楽曲からも感じられました。
ガーシュウィン《3つの前奏曲》第2曲
このミュージカルは、すでにあるガーシュインの楽曲をつなぎ合わせたミュージカル作品ですが、まるで、1から台本に合わせて作曲したかのように楽曲群が並べられています。これが可能なのは、どの曲も一度聴けば「ガーシュウィンだ!」と感じられる彼だからこそ。
では、具体的に、曲の中にある”ガーシュウィンらしさ”とはなんなのでしょうか?
これは、一言では答えられない難問ですが(笑)、彼が「ジャズの代名詞であるブルーノートを、さりげなくクラシックの譜面の中に登場させている」ということが、”ガーシュウィンらしさ”の要因の1つになっているのでは、と映画館からの帰り道で思いました。
例えば、「パリのアメリカ人」の主題旋律(シネマ版や舞台を見た人は帰りに必ず口ずさんでしまう、あの旋律です)では、トランペットの堂々したロングトーンから8分音符で降りてくる中に、さりげなくブルーノートを混ぜています。
「パリのアメリカ人」の主題旋律。赤色で示したD♭(変ニ)の音がブルー・ノート。
この旋律は、ミュージカルではリズとジェリーのパ・ド・ドゥのシーンなどで流れますが、踊りでもさりげない、一瞬の切ないブルーノートが表現されているのではないでしょうか。
すでに上映終了してしまっている映画館もありますが、場所によってはまだ観れるところもありますので、気になった方はぜひ劇場でお確かめください!
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