ヤードバーズつながりで4月に来日公演をするエリック・クラプトンのこと 「サンキュー」しか言わない彼がギターで訴えてくれる限り足を運びたい
ラジオのように! 心に沁みる音楽、今聴くべき音楽を書き綴る。
Stereo×WebマガジンONTOMO連携企画として、ピーター・バラカンさんの「自分の好きな音楽をみんなにも聴かせたい!」という情熱溢れる連載をアーカイブ掲載します。
●アーティスト名、地名などは筆者の発音通りに表記しています。
●本記事は『Stereo』2023年4月号に掲載されたものです。
ロン ドン大学卒業後来日、日本の音楽系出版社やYMOのマネッジメントを経て音楽系のキャスターとなる。以後テレビやFMで活躍中。また多くの書籍の執筆や、音楽イヘ...
武道館公演が100回を超える偉業
4月に来日するエリック・クラプトンは日本武道館で6回公演します。他の会場でのコンサートはありません。しかもこれで彼の武道館公演の数が100を超えることになります。矢沢永吉や松田聖子にはまだまだ及ばないとは言え、洋楽のミュージシャンではダントツです。
クラプトンの初来日はちょうどぼくが東京に来た1974年で、見に行ったのをよく覚えています。しばらくヘロイン中毒のために活動を休止した後、ロンドンのレインボウ・シアターでのライヴ・アルバムを発表しましたが、久しぶりのスタジオ録音としてその年の夏に出たのが『461 Ocean Boulevard』でした。
アルバムに先駆けて発表されたシングル盤「I Shot The Sheriff」はぼくがロンドンから東京に出発する前日に、当時働いていたレコード店にアメリカの輸入盤として入荷しました。
すでにザ・ウェイラーズが好きになっていたので曲はよく知っていましたが、まだブレイクしていなかったボブ・マーリーの曲をエリック・クラプトンが取り上げるのはかなり意外でした。だいぶ後になって知ったのですが、クラプトンの新しいバンドのメンバーになっていたギタリストのジョージ・テリーがザ・ウェイラーズの『Burnin`』が好きで、「I Shot The Sheriff」をエリックに勧めたとのことです。
最初は抵抗があったけれど、説得に負けて録音したこの曲はシングルとしてアメリカで1位になって、ソングライターとしてのボブ・マーリーの名前を印象づけるのに大きな役割を果たしたと思います。
因みに『461 Ocean Boulevard』というのは、マイアミのクライティリア・スタジオでレコーディングする間にクラプトンが住んでいた家(アルバムのジャケットでその家の前のヤシの木のそばに立つクラプトンが写っています)の住所です。
このロケイションを大いに気に入った彼は、同じロバート・スティグウッドをマネジャーとしていたビー・ジーズに勧め、ピンチに陥っていた彼らが気分転換を兼ねてクライティリアで録った『Main Course』はビー・ジーズがブラック・ミュージックの要素を取り入れるきっかけになったわけです。去年公開されたドキュメンタリー映画『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』ではその辺の話がとても興味深く語られています。
盛り上がらなかった第一回目のアクースティック・セット
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