フルート自慢その3:日本とフルートの関わりと、そこから生まれる新しい文化
東京芸術大学附属音楽高校を経て、東京芸術大学をアカンサス音楽賞を得て首席で卒業。同大学院修士課程修了。第76回日本音楽コンクール第1位を受賞。併せて岩谷賞(聴衆賞)、...
今回は、フルートと日本の深いつながりをご紹介します。
日本文化とフルートの絆
日本には古くから横笛の歴史があります。有名なものでは、牛若丸が横笛を吹きながら五条の橋にやってきたというお話があったり、清少納言が『枕草子』の中で、「楽器の中では、笛がとても良い」と書いていたり、横笛にまつわるエピソードが日本には数多く存在します。
このように古くから横笛に親しんできたからか、日本ではプロ、アマチュアを含めたフルート人口が非常に多いことでも知られています(フランス・フルート界の巨匠、マルセル・モイーズが来日したとき、そのフルート人口の多さに驚愕されたそうです)。
また、日本産のフルートが世界中のトップシェアを誇っていることも、特筆すべきことです。ウィーン・フィルやパリ管弦楽団など、ヨーロッパの主要なオーケストラでも愛用者が多いのです。
日本とフルートの深く強い絆は、現代の音楽にもつながっています。
武満徹の《そして、それが風であることを知った》では、柔らかなフルートの音が、まるで日本の水墨画のように濃淡を変えながら響き渡ります。
また、細川俊夫の《線1》では、筆で描く毛筆の線やかすれ、墨の滴りまでもがフルートのさまざまな奏法を通して描かれます。
これらの作品は、今や世界中で愛され、フルート奏者にとって大切なレパートリーとなっています。
西洋で発展したフルートが、日本の文化に出会い、新しい音楽が生まれていることは、とても素晴らしいことだと思います。「日本とフルート」の新しい文化が、これからさらに世界に広がっていくよう、私も微力ながら貢献していきたいと思っています。
フルートの魅力を味わう作品
武満徹《そして、それが風であることを知った》
細川俊夫《線1》
次はチェロ奏者の遠藤真理さんにバトンを渡したいと思います。彼女とは高校からの同級生で、当時からみんなが憧れる存在でした。実力・人気ともに抜群の遠藤さんによる「チェロ自慢」に、乞うご期待ください。
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