136年前の今日、プッチーニ初のオペラ《妖精ヴィッリ》初演!
1884年5月31日、《トスカ》《ラ・ボエーム》《蝶々夫人》などで知られるイタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニの初オペラ《妖精ヴィッリ》が、ミラノのダル・ヴェルメ劇場で初演されました。
作曲されたのは、プッチーニがミラノ音楽院を卒業したばかりの25歳のとき。楽譜出版社ソンツォーニョ主催の一幕オペラコンクールに応募するため、2日2晩で書き上げられたそうですが、結果は落選。しかし、これを惜しんだ周りの人々の尽力で初演にこぎつけ、この演奏をきっかけにミラノにあるもうひとつの大手出版社リコルディとの契約に至っています。
原作は、ドイツ・ロマン派の詩人ハイネ『ドイツについて』の中の『幽霊と悪魔』。バレエの名作『ジゼル』と同じ題材からとられており、黒い森を舞台に、旅先で妖婦に誘惑されて婚約者を忘れてしまったロベルトと、彼に裏切られ、亡霊となって現れるアンナの悲劇が描かれます。
初演は大成功に終わり、その後もしばらくは一定の評価を得ていました。しかし、常に劇場のレパートリーに加わるプッチーニのほかの作品と違い、現代の演奏機会は多くありません。
その理由として、まず第一に台本の弱さがあげられよう。物語の説明が不十分で、なにより亡霊となったアンナがロベルトを死にいたらしめる点が共感を呼ばなかったのではないかと思われる。
(中略)
しかし場面の場面の雰囲気をたくみに伝える管弦楽の手法や、愛と苦悩を歌うアンナの美しいアリアには、のちのプッチーニを予見させるものがあり、なんといっても音楽全体にみなぎる清新な力は魅力的である。
『作曲家別名曲解説ライブラリー ヴェルディ・プッチーニ』(音楽之友社)229ページより
アンナが歌うアリア「わたしのことを忘れないで」は、現在も単独でよく取り上げられます。
これ以降、遺作《トゥーランドット》まで数々の名作を残すことになるプッチーニ。アリアだけでなく、彼のオペラにおける最初の一歩を、ぜひ観賞してみてください。
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