読みもの
2020.04.10
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」第3話

『ピアノの森』一気読みのススメ——ショパン国際ピアノコンクールの前に

コンクール取材歴◯年
高坂はる香
コンクール取材歴◯年
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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2020年10月に開催が予定されている、ショパン国際ピアノコンクール。

無事に開催を迎えられるか、未だ先の読めない状況ではありますが、家にいる時間が多い今、5年に一度のコンクールを前にぜひ読んでほしい、そして一度読んでいても読み返すことをお勧めしたい漫画があります。

それは、一色まことさんの漫画『ピアノの森』(講談社)。

読み始めると、5巻目あたりから感涙ポイントがひっきりなしに出現するこの作品……家にこもりがちな今こそ、泣いて目が腫れることを気にせず読破するチャンス!!

物語は、森に捨てられたピアノを弾いて育った一ノ瀬海が、師と出会い、仲間と出会い、成長してショパンコンクールから世界に漕ぎ出すというもの。

何かに打ち込んだ経験がある人、思い通りの結果を出せず悔しい思いをしたことがある人、誰かに支えてもらった思い出がある人なら、共感せずにいられない心理描写がたくさんあると思います。登場人物たちの、自分の弱さを認めて、人を思いやる瞬間の描き方もすごい。

連載は、お休みも含めて1998~2015年の17年にわたり、コミックは全26巻という超大作。ワルシャワ現地取材に基づく内容は、音楽的な部分も本質をついているうえ、実際のコンクールで起きた出来事や、このキャラクターのモデルはあの人かな? と思う要素もちりばめられています

参加者みんなにドラマがあることを改めて思い(もちろん、漫画ほど壮絶な人生ではないにしても……)、演奏が好みでもそうでなくても、一人ひとりの音楽を尊重して耳を傾けないといけないことを実感させてくれます。

久しぶりに読み返そうと手近にあった21巻から読み始めたところ、開始15ページで泣けました。おすすめです。

コンクール取材歴◯年
高坂はる香
コンクール取材歴◯年
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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