読みもの
2021.03.19
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」第53話

ルービンシュタイン国際ピアノコンクールの予選は4月1日から配信、本選は会場で開催

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

メイン写真:2014年に開催されたルービンシュタイン国際ピアノコンクールの授賞式。撮影:筆者

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ルービンシュタイン国際ピアノコンクールの開催が、迫ってまいりました。

当初は昨年行われる予定でしたが、コロナ禍で1年の延期。とはいえ未だ世界的な状況が落ち着かないなか、コンクールは新しい方法で開催されることとなったようです。 

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現地、イスラエルのテル・アビブに招かれるのは、ファイナリストのみ。それ以前の1次、2次予選は、北京、ロンドン、ポツダム、ニューヨーク、テルアビブの5都市の会場で収録した録画に基づいて、審査員団が審査をすることになったそうです。

これまで、予備予選を複数都市で行い、各会場を審査員団がまわるということはありましたが、それすらままならない中でとられた苦肉の策。コンテスタントに自ら録画したものを送ってもらうようだと、録音条件が平等にならないため、このような方法がとられたと聞きました。

加えておそらく、編集などの不正を防ぐためもあるでしょう。すべてをオンライン化して行なうことにしたシドニーコンクールなどでは、編集でズルをしないための規定がかなり厳しいと小耳にはさみました。

事前収録された演奏は、実際のコンクールのようなスケジュールで、連日一般向けにも配信されます。前回の入賞者によるオープニングコンサートも無料配信されるほか、審査員などによるトークセッションも充実させる予定だとか。 

今回、日本からは桑原志織さんが出場。

桑原志織さんの演奏はトラック1~3(藝大レーベル Vol.2より)

そのほか、日本になじみのある顔だと、2015年のショパンコンクールと浜松コンクールに続けて出場し、自由奔放な演奏でインパクトを残した、ギリシャ/ベネズエラのアレクシア・ムーサさん、先のチャイコフスキーコンールにも参加していた、アンナ・ゲニューシュナさん(ルーカス・ゲニューシャスさんの奥様)もエントリーしていますね。

2015年の浜松国際ピアノコンクールで第3位だったアレクシア・ムーサさん

アンナ・ゲニューシュナさんとルーカス・ゲニューシャスさん

そして、本選はテル・アビブにおいて有観客でおこなわれます。ファイナリストはワクチンを接種してから入国となるのでしょうか。そのあたりははっきりわかりませんが、いずれにしても、イスラエルが世界でももっともワクチン接種が進んでいる国だからこそ、この形での開催が実現するといえるでしょう。

それにしても、ロシアやイスラエル界隈の人と話していると、もう2月のうちから、母親がワクチンを打って副反応がどうだという話とか、おじいさんが2回目を打ったからもうすぐコロナの恐怖から解放だ、とかそんな話ばかり。日本が、断絶された遅れた国のような気がしてきます……。

さて、そんなうらやましさはさておき、新しいスタイルでの開催となるルービンシュタインコンクール。この後に予定されている多くのコンクールへの一つのサンプルともなると思うので、その意味でも注目したいところです。

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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