ショパンコンクール直前、ワルシャワ王宮でホジャイノフさんのリサイタルを聴く
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
ヨーロッパの建築、中でも城や王宮など贅を尽くした建物を訪れると、やはり日本とはまったく異なる美意識、価値観、精神構造がそこにはあるのだなと思わずにいられません。
いま私は、ショパン国際ピアノコンクールの取材でワルシャワに来ていますが、先日、リサイタルを聴くためワルシャワ王宮に行って、改めてその煌びやかさに圧倒されました。
ところで先日、ワルシャワ王宮に行きました。キランキランですごい! pic.twitter.com/urG97ax83r
— 高坂はる香(音楽ライター) (@classic_indobu) October 5, 2021
どうでしょうこの金ピカっぷり。こんなところでピアノを弾くなんて、目がチカチカしそうです。この感性、やっぱり日本にはないものだよなと改めて眺め回しました(ふと、あ、金閣寺があった! と思いましたが、あれはさすがに外側だけですもんね)。
おそらく調度品の何もかもがホンモノの一級品なのでしょう。ちょっとそこらへんの出窓の台に、エントランスでもらったショパンチョコレートをポンと置いたら(もちろん包みのままですよ!)、マダムにすごい勢いで注意されました。
ちなみにこの日のリサイタルの出演者は、ショパンコンクールに出場中、ロシアのニコライ・ホジャイノフさんでした(ちょうどこの記事が公開される頃、1次予選の演奏を行なったところのはず)。※ホジャイノフさんは2次予選に進出しました(編集部追記)
プログラムは、もちろんオール・ショパン。2010年のコンクールの最年少ファイナリストで、その後何度もワルシャワで演奏している彼は、すでに地元の聴衆からとても人気があります。この日も、独創的、かつ生き生きとしているけれどどこかほんのり暗く、美しくみずみずしいショパンで大喝采を受けていました。コンクールが始まる前からこのスタンディングオベーション。すごい。
ワルシャワ王宮でこの日行われていたのは、ニコライ・ホジャイノフさんのリサイタル。
2010年の最年少ファイナリストは、コンクールが始まる前からすでに人気!盛り上がってました。(人々の隙間にちょこっとうつってるニコライさん、見えるでしょうか) pic.twitter.com/ZQxdyRQJuf— 高坂はる香(音楽ライター) (@classic_indobu) October 5, 2021
ワルシャワ王宮は旧市街にあり、1596年にフグムント3世が都をクラクフからワルシャワに移した際、王宮として改築された建物です。18世紀末に(つまりショパンが1810年に生まれる少し前ということになりますね)、最後の王となったスタニスワフ2世アウグストが、この金ピカの豪華絢爛な内装を施したそうです。
その後20世紀、第二次世界大戦中、旧市街もろともナチスドイツに破壊されてしまいましたが、街並みとあわせてこの王宮も復元されました。今は博物館として、18世紀の家具や中世のコインなどを展示しています。
この旧市街は世界遺産に登録されていますが、それは街自体の歴史的な価値というより、戦禍で破壊された街並みを「レンガのひび割れ一つに至るまで」忠実に蘇らせたワルシャワ市民の熱意が評価され、登録に至ったのだとか。とても特別なケースだそうです。
ショパンコンクール会場のフィルハーモニー〜ワルシャワ王宮
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