きよしこの夜
広島出身。エリザベト音楽大学卒業後、2001年渡独。デトモルト音楽大学修了。リューベック音楽大学、同大学院を首席で修了。オイレギオ国際コンクール優勝。08年にブレーメ...
Stille Nacht, heilige Nacht
シュティレ・ナハト、ハイリゲ・ナハト
きよしこの夜
子どものころに日本語でこの曲を聴いた際に、「きよし」って誰だ? と思いました。きっと皆さんも小さいころ感じたことでしょう。
Stilleは「静かな」、Nachtは「夜」、heiligeは「神聖な」というような意味なので、「きよし」は人の名前ではなく「清い」という「heilige」からとられた訳詩だということになります。
私はドイツにいたころ、2年間ほどドイツ人家族のもとに居候をさせてもらっていたので、ドイツで行なわれるさまざまな年間行事に触れることができました。
日本では恋人同士でプレゼントを送りあったり、素敵なレストランで食事をとったりというイメージがあるクリスマスですが、ドイツでは歌にあるようにStille Nacht、「静かな夜」です。もちろんすべての雑音を排除し、無音で過ごすというわけではありません。
12月24日までの約4週間は、日本でもおなじみのクリスマスマーケットが各都市、町、村で開かれ、寒い中グリューワイン:Glühwein(香辛料などを加えた温かいワイン)や焼きソーセージ、木彫り細工や蝋燭、さまざまな屋台が色とりどりに飾り付けられ、建ち並んでいます。
冬には緯度が高いせいで早い時間から暗くなるドイツも、マーケットの光で明るい気分になります。その中に、大抵どのクリスマスマーケットにも存在するのが、イエス・キリストの誕生の場面の飾りつけです。小さな馬小屋の中でマリアに抱かれた赤子イエスのミニチュア像が配置され、マーケットのどこかで見ることができます。それぞれのミニチュアを購入することもでき、家に飾り付けている人もいます。
24日を過ぎるとすべてのマーケットが営業を止め、とたんに静かになります。そして人々は夜には教会へ行き、クリスマスのミサに参加します。
このときばかりは敬虔な信者でなかった私のお世話になっていた家族も教会へ行き、ミサのときに読まれるキリスト誕生の物語を聞き、きよしこの夜をドイツ語で歌い、わらわらと家に帰っていきます。日本でいう初詣、普段は行かない神社に1年に1回お参りに行くような感じでしょうか。
Stille Nacht, heilige Nacht!
(shティレ ナハt/ハイリゲ ナハt)
ここのsは「シュ」
静かな夜、聖なる夜!
Alles schläft, einsam wacht
(アlレス shレーフt/アインザm ヴァハt)
すべては寝静まり、ただ彼らだけは目覚めている、
Nur das traute, hochheilige Paar.
(ヌーァ ダs tラウテ/ホーchハイリゲ パーr)
ここのchはオの口で喉の奥に息を当て、ホの様な音
信心深く、神聖な夫婦だけは。
Holder Knabe im lockigen Haar,
(ホーlダー kナーベ イm ロッキゲン ハーr)
巻毛の愛しい子よ、
Schlaf in himmlischer Ruh.
(shラーf イン ヒンmリッシャー ルー)
天の安らぎの中で眠れ。
*子音だけの部分はローマ字で記した。母音を付けず子音だけ発音する。
聖フロリアン少年合唱団:《きよしこの夜》
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