2025.05.04
名曲解説100
30秒でわかるメンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲について30秒で丸わかり♪
古今のヴァイオリン協奏曲の中でもとりわけ人気の高いこの作品は、フェリックス・メンデルスゾーン(1809〜47)の後期の所産です。当時ライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者を務めていた彼が、この楽団のコンサートマスターだった名手ダーフィト(ダヴィット)のために作曲を思い立ったもので、ダーフィトの助言を多く得られたこともあって、メンデルスゾーンらしい古典的均斉を持った構成のうちに豊かなロマン性と独奏の名技性を発揮した、円熟期らしい充実した傑作となっています。
一方で、楽章間の休みを入れずに全体を連続させるなど、随所に独自の試みがなされている点に、彼の革新的な面が現れています。ソナタ形式の第1楽章にしても、協奏的ソナタ形式をとらず冒頭から独奏が主題を奏し、またカデンツァ(註:協奏曲やアリアなどに挿入され、独奏者や独唱者の華やかな技巧を披露する部分。無伴奏で即興的に演奏されることが多い)を再現部の前に置く点など、伝統的な定石にこだわることなくロマン的な新しい協奏曲を追求しようとする姿勢が窺えます。第2楽章は3部形式の叙情的な緩徐楽章。第3楽章は独奏の技巧を生かしたソナタ形式の快活なフィナーレで、展開部で新たな主題が出現し、これが再現部では第1主題の対旋律として用いられている点も斬新な工夫といえるでしょう。
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
作曲年: 1844年(構想は1838年)
演奏時間: 約27分
編成: フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部、独奏ヴァイオリン
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