音大生の住居費用、練習・レッスン環境は?
入学する音大が自宅から通えない場合、新たに住まいを探さなくてはなりません。とくに器楽系や声楽専攻の場合、またその他の専攻でも楽器や歌の練習は音大生の必須事項。どのような観点で、住居を考えればいいのでしょうか?
*記事は内容の更新を行っている場合もありますが、基本的には上記日付時点での情報となりますのでご注意ください。
執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、各編集グループスタッフ。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行書籍『音楽大...
寮や学校提携のアパートなどがあるか調べてみよう
音大では、自宅から通えない学生のための寮を用意している場合もあります。この寮の状況は、さまざまです。部屋が防音の場合もそうでない場合もありますし、個室だったり相部屋だったりもします。つまりは、部屋で自由に練習できる場合もそうでもない場合もあるということです。寮によっては、練習室が別に用意されている場合もありますが、その室数もさまざまですので、練習室でいつもすぐ練習できる場合もあれば、部屋の確保が競争になったりする場合もあります。たとえば防音の個室にグランドピアノを持ち込める寮は、恵まれた寮だと言えます。
食事についても、寮によっては格安の月額で付いている場合もあれば、そうではない場合もあります。安全面では、大学が管理しているので問題ないでしょう。
一例をあげると、東京23区内の大学から徒歩3分のところに位置する寮で、朝夕の食費を含め年間で857,000円(令和3年度現在)となっています。長期休暇に入る期間もありますが、朝夕の食費・光熱費などが含まれ、安全性も高いことを考えると、個別に借りるよりは格安と言えるでしょう。
寮は定員が決まっていますが、そのほか学校が学生会館や提携している契約アパートなどを紹介してくれる場合もありますので、こちらも調べてみましょう。
一般の賃貸住宅は必ず音出しの条件をよく確認しよう
一般の住宅を借りる場合は、練習の利便を考え、防音対策が施され、自宅で楽器の練習のできるマンション・アパートを選びたいものです。音出し時間の制限、楽器による条件なども確かめましょう。楽器は音量・音色がさまざまですので、制限が異なるケースもあります。また、近隣住民とのトラブルを避けるため、音出し時間は厳守事項になります。
ただの「楽器(相談)可物件」と、音大生向けに防音などの効いたいわゆる「楽器対応物件」と呼ばれるものの違いにも気をつけましょう。前者の場合は、音大生のように長時間毎日練習することを想定していない場合も多いので、楽器可と聞いて入居したのに後になって苦情が来るということもあり得ます。住まいを探すときには、必ず「音大生であり、毎日長時間練習すること」を業者に伝えないと、後々大きなトラブルにつながることもあるので注意が必要です。以上のことを理解したうえで、さまざまな条件を吟味して住む場所を選びましょう。
音大が駅の近隣にある場合、一般の駅周辺よりもこのような住宅が充実している場合もありますが、なにぶん設備が十分に整う分、家賃は高めにはなります。防音物件の賃料は都内で6~9万円程度、近県で5万円程度のものからあるようです。セキュリティの高い物件、また演奏可能時間が長い物件はこれよりも高くなります。また、音大生の入居を見越して「音大生・女性専用」とするものも多く、女性には安心です。都心であれば、楽器対応物件の専門の不動産屋や楽器店が住宅を斡旋してくれるケースもあるので、HPなどでチェックしてみましょう。
練習できない部屋に住むなら
自室で練習できない部屋に住む場合は、練習は大学の練習室で行うか、レンタルスタジオを借りるなどすることになるでしょう。大学の練習室については、近年、耐震・防音設備の整った校舎に建て替えとともに練習室も充実させ、そこを朝早くから夜遅くまで学生に無料・有料で開放している学校もあり、そこで事足りる場合もあります。
いっぽう、そこまでではない学校では、大学の練習室を十分な時間確保できず、ほかの練習スタジオや知人宅などを頼らざるをえない可能性もあります。
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