コロナ禍に挑戦した3つの習い事。遠い世界を経験して得たもの
人気実力ともに若手を代表するピアニストの一人、牛田智大さんが、さまざまな音楽作品とともに過ごす日々のなかで感じていることや考えていること、聴き手と共有したいと思っていることなどを、大切な思い出やエピソードとともに綴ります。
20歳をすぎたころ突然コロナ禍がやってきたわけですが、その機会にふだん絶対にできないことをしてみようと思い立ち、無謀にも手を出してみたことがいくつかあります。今回はその結果を書いてみようと思います。真面目な話ではまったくありませんが、まあ閑話休題ということで……(笑)。
アナウンス教室では冷や汗の連続
第1弾は某放送局のアナウンス教室に行った話を……。これまでに公演などでトークなるものに挑戦するたびに、早口になったり、時間を超えて延々と長話になってしまったりと、なにかしらやらかしていた私は、この機会にちょっと勉強してみようと奮い立ちました。それは都内某所の会議室のような場所で行なわれたのですが、どんなことを学べるのだろうとウキウキして向かった私は、部屋に入った瞬間、そこに異様にピリピリとした雰囲気が漂っていることに違和感をおぼえました。
そう、私が「初心者のための話し方教室」くらいの気分で申し込んでいたその場所は、真剣にアナウンサーやキャスターを目指す大学生のための養成講座だったのです! 最初はアンケート(なぜ講座に参加したか)から始まったのですが、隣に座った方が用紙にびっしり熱意(なぜアナウンサーになりたいか)を書き進めているのを横目で見ながら、「話すのがあまりにヘタだから」しか書くことがない私は胃がキリキリと痛みはじめたのでした。
講座がはじまり、私の胃はさらに痛みはじめることになります。抜き打ちの漢字テストが始まってしまったのです。アナウンサーにとって読み間違いやすい漢字が集められたらしいそのテストは、もはや1年に一回くらいしかお目にかからないような文字の読み方から二十四節気のほとんどを漢字で書かなければいけないような問題にいたるまでたいへんに難しく、私は胃痛を通り越して冷や汗が止まらなくなりました。
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