ベートーヴェンと新鮮な卵入りスープ
年間を通してお送りする連載「週刊 ベートーヴェンと〇〇」。ONTOMOナビゲーターのみなさんが、さまざまなキーワードからベートーヴェン像に迫ります。
第13回目はベートーヴェンの好物にフォーカス。食に纏わる意外なエピソードは、楽聖の知られざる一面を描き出しています。ベートーヴェンの生前の様子を知る手がかりである「会話帳」に詳しい、『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(柏書房刊)の著者かげはら史帆さんが教えてくれました。
ベートーヴェンは「おうちごはん派」 ヘルシー志向は体調のせい?
グルメな音楽家というとロッシーニが有名ですが、同じ時代を生きたベートーヴェンも、食べ物にこだわる人でした。とはいえ、方向性は正反対。贅を尽くした美食を追い求め、自分で高級レストランまで開いてしまったロッシーニとは異なり、ベートーヴェンが好んだのは、新鮮な食材を使ったシンプルな料理でした。
なにしろ当時のウィーンのレストランときたら、ランチでも4、5皿をガッツリ出すのが普通。しかも脂したたる肉料理ばかり! 胃腸の弱いベートーヴェンからしてみれば、これは拷問にほかなりません。必然的に、「おうちごはん」が生活の中心になっていったようです。
そんなベートーヴェンがとりわけこだわったのは、卵の新鮮さ。うっかり家政婦が古い卵を買ってこようものなら、激怒して投げつけた(!)というひどいエピソードも残っています。その新鮮な卵を割り入れて、どろどろにしたスープが、彼のいちばんの好物だったそうです。
ほかによく食べていたものといえば、チーズを添えたシンプルなマカロニ、じゃがいも、魚料理など。名だたる大音楽家の食事としては驚くほど質素ですが、あくまでも胃袋と相談した結果ということでしょう。
もし現代に生まれていたら、和食やマクロビなどのヘルシー志向の食に興味をいだいたかもしれません。
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