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2020.05.03
広瀬大介の“耳福”ハイレゾ入門 第3回

実際に音を聴いてみよう!〜ハイレゾの楽しみ方

広瀬大介
広瀬大介 音楽学者・音楽評論家

青山学院大学教授。日本リヒャルト・シュトラウス協会常務理事・事務局長。iPhone、iPad、MacBookについては、新機種が出るたびに買い換えないと手の震えが止ま...

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今回は、前回までで手に入れたハイレゾ再生環境を、早速聴いてみましょう! ここでは3種類の違うタイプの音源を聴き比べてみます。

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1. ヴァイオリンのソロ

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ、パルティータ
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン

なんといっても、如実にこれまでのイヤフォンと違いを感じられるのは独奏楽器、とりわけ弦楽器です。その艶やかな音色と、演奏家の息遣いまでが耳元で感じられるような臨場感に、きっと驚きを覚える方が多いと思います。

2. ヴァイオリン、ピアノ、チェロのトリオ

メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番、第2番
アンヌ・ケフェレック、ピエール・アモイヤル、フレデリク・ロデオン

このヴァイオリンに、ピアノとチェロが加わるとどうなるか。生々しかった音に対して、空間がぐっと拡がったような印象を受けるはずです。3つの音が発せられる場所も、それらの音がどのようにお互いと絡んでいくのかも、よりしっかりと感じられます。演奏会場で聴くのとも違い、奏者と同じ舞台上にいるのでは、と感じられるほどではないでしょうか。

3. 歌+オーケストラ

ワーグナー/アリア集
ヨナス・カウフマン、ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、指揮:ドナルド・ラニクルス

最後はオーケストラと声楽。とにかく、ハイレゾ音源の一番の利点は、人間の声を生々しく聴かせてくれる点にこそあります。

1曲目、カウフマンが父親の名「ヴェーーーールゼ!」と2回叫ぶ箇所を聴いて、実演と同じような、いや、実演よりもさらに生々しい臨場感を感じ、鳥肌を立ててしまった聴き手も多いのではないでしょうか。

……これで、よい音で音楽を愉しむ世界の入口に立つことができました! どうしても投資は必要になりますが、その投資をしてよかったと思える再生環境を手に入れることができると、自信を持って申し上げたいと思います。

ただ、これはほんとうに「入口」に過ぎません。手持ちのiPhoneをもとに、さらにいい音を求めるための手段は、まだまだあります。もし機会があれば、その手段もあらためてお伝えできれば幸いです。その日まで、素晴らしい音楽生活をお愉しみください!

広瀬大介
広瀬大介 音楽学者・音楽評論家

青山学院大学教授。日本リヒャルト・シュトラウス協会常務理事・事務局長。iPhone、iPad、MacBookについては、新機種が出るたびに買い換えないと手の震えが止ま...

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