イベント
2022.03.18
愛知県芸術劇場/春の特集「ホールの1年間」

子どもにも大人にも本格的なダンスやオペラ、オルガンを〜愛知県芸術劇場

愛知県芸術劇場は、名古屋きっての繁華街、栄地区のランドマークで1992年オープン。オペラハウスの大ホール(2,480席)、パイプオルガンを備えたコンサートホール(1,800席)、レイアウトを自由に動かせる小ホール(標準282席)と、それぞれの特徴を生かした多彩な公演が行なわれています。
シニアプロデューサーの水野学さんに、2022年のラインナップを取材しました。

聞き手・文
池田卓夫
聞き手・文
池田卓夫 音楽ジャーナリスト@いけたく本舗

1958年東京都生まれ。81年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、(株)日本経済新聞社へ記者として入社。企業や株式相場の取材を担当、88~91年のフランクフルト支...

勅使川原三郎芸術監督が創作した、宮沢賢治の短編小説《風の又三郎》のダンス版初演(2021年)。©️Naoshi Hatori

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初めて参加する全国共同制作オペラ事業と、子ども向けの人気の再演オペラ

池田 「自主事業ラインナップ2022」のプレスリリースを拝見しました。3年目に入ったコロナ禍にもかかわらず、いろいろな分野のメニューをたくさんそろえ、目がくらみます。水野さんのイチオシを教えてください。

水野 まだ詳細は発表できませんが、東京芸術劇場を軸とする全国共同制作オペラ事業に初めて加わり、マスカーニ《カヴァレリア・ルスティカーナ》レオンカヴァッロ《道化師》を2023年3月3、5日に上演する予定です。

多人数の共同作業と長期のリハーサルが必要で、独唱や合唱の飛沫を伴うオペラ上演は感染リスクもあり、期待と不安の両面があります。目玉の演目ですし、なんとか今年(2022年)いっぱいで収束してほしいと願うばかりです

シニアプロデューサーの水野学さん。

池田 音楽初心者のお客さまに「いきなりオペラは敷居が高い」と言われたら、何をオススメしますか?

水野 オペラでも、初めての人から高度の音楽ファンまでが楽しめる企画があります。モーツァルトが12歳で作曲したオペラ《バスティアンとバスティエンヌ》です。

コメディの側面を強調した太田麻衣子さんの演出を、2018年に小ホールで初演したところ、大評判を取りました。2020年の再演はコロナ禍で中止となり、今回が4年ぶりの再演です。

管弦楽は、名古屋出身の角田鋼亮さんが指揮する愛知室内オーケストラ、ソリストも三重県出身のソプラノ伊藤晴さんをはじめとする実力派をそろえました。

6月12日の一般公演に続き、6月17日は「劇場と子ども7万人プロジェクト」の枠で、愛知県内の中学生を招待します。この「7万人プロジェクト」は2015年に始め、次代を担う子どもたちに「一度は本物の舞台芸術を観てもらおう」との願いをこめてきました。

2018年11月に上演されたモーツァルトのオペラ《バスティアンとバスティエンヌ》から。©️Naoshi Hatori

ファミリー向けは、オルガン、ダンス、サーカスと多彩!

池田 コンサートでも、入門者を意識した企画を用意していますか?

水野 意外と思われるかもしれませんが、パイプオルガンにあります。山口綾規さんの演奏で8月26日の午後7時半、27日の午前11時と午後2時の3回公演を予定する「THE オルガンNIGHT & DAY 2022」は、それぞれ休憩なし45分、入場料500円です。短めのプログラム、出かけやすい時間、ワンコインの手軽さを追求しています。

池田 愛知県芸術劇場では2020年、世界的ダンサーで振付家・演出家の勅使川原三郎さんを初代の芸術監督に迎えます。お仕事を本格化させた2021年には最初のオリジナル作品として、宮沢賢治の短編小説《風の又三郎》のダンス版を創作、夏休みの「ファミリー・プログラム」の枠で初演しました。

東海圏にゆかりのダンサーをオーディションで選りすぐり、勅使川原さんの音楽への傾倒もにじませた幻想的、かつ心にしみる作品でした今年も「ファミリー」枠で、9月3、4日に再演するのですね。

愛知県芸術劇場ファミリー・プログラム「げきじょうたんけんツアー」コンサートホール編

音楽ジャーナリストの池田卓夫さん。©️ヒダキトモコ

水野 初演をご覧になったお客さまの反応は、非常に良かったです。クリエイティブな勅使川原さんのことですから、今年は決して同じ舞台とせず、確実にバージョンアップしているでしょう。

勅使川原さんには、年2作のペースで自作を手がけていただく方針で、2022年は《風の又三郎》再演の2週間後、9月16、17日に「ダンス・コンサート 勅使川原三郎ライヴミュージック&ダンス《天上の庭》」をコンサートホールで初演します。

ダンスの注目公演はもう1つ。10月27、28日のフランスの「カンパニーXY」とラシッド・ウランダンによる《メビウス》は、“現代サーカス”19人のチームが飛んだり跳ねたり、高度なアクロバットを披露します。

多様なアーティストが愛知で育ち、交流を深める

池田 愛知の場合、お客さまの目に触れる公演だけでなく、今後の音楽・舞台芸術を担う人材の育成も、自主事業の柱としてきたのが大きな特徴ですね。

水野 戯曲やダンサー、合唱団などの「アーティスト人材育成プログラム」、インターンや劇場職員などの「舞台芸術人材育成ラボ」を通年開催してきました。

2021年には「アーティスト…」の枠に、2018年から短期コースのみで始めた「オルガニスト育成事業」の年間コースを追加。2年目の今年度も「集まれ、未来のオルガニスト2022」と題し、プロのオルガニストを目指す若い音楽家のための個人レッスンを予定しています。

感染症対策などで難しい部分はありますが、お客さまがアーティストと直接触れ合い、心の交流を深められるような形でのワークショップの可能性も探っていきますし、オンラインの機能を活用した新たな発信方法も含め、「ここでしか聴けないもの」の制作に引き続き知恵を絞っていくつもりです。

池田 ありがとうございました。名古屋の栄には美味しいレストランもたくさんありますので、これからは街全体を巻き込んだ魅力のアピールにも期待しています。

愛知県芸術劇場

[運営](公財)愛知県文化振興事業団

[座席数]大ホール 2,480席、コンサートホール 1,800席、小ホール 標準282席

[オープン]1992年

[住所]〒461-8525 愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2

[問い合わせ]Tel.052-211-7552

https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/

聞き手・文
池田卓夫
聞き手・文
池田卓夫 音楽ジャーナリスト@いけたく本舗

1958年東京都生まれ。81年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、(株)日本経済新聞社へ記者として入社。企業や株式相場の取材を担当、88~91年のフランクフルト支...

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