イベント
2018.03.30
春、体感する音楽。VIVA LA ROCK 2018 / CROSSING CARNIVAL'18

都市型フェスで春をスタート! 入門者でも楽しめるロック・フェス

これまで「フェス」といえば「夏」のイメージだったが、ここ数年でフェス文化が浸透し、今では春の訪れとともに大小さまざまなフェスやイベントが各地で開催されている。本稿ではそんな中から「体感」をキーワードに、お勧めのフェス/イベントを紹介しよう。

ナビゲーター
金子厚武
ナビゲーター
金子厚武 音楽ライター

1979年生まれ。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体...

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都市型の大型フェス「VIVA LA ROCK 2018」

 まず最初に挙げるのは、毎年ゴールデンウィークにさいたまスーパーアリーナで3日間に渡って開催される、音楽雑誌「MUSICA」主催のロックフェス「VIVA LA ROCK」。アクセスの便利な都市型フェスとしては国内でも最大規模で、アリーナの中にはそれぞれ雰囲気の異なる3つのステージ、また屋外にはフードコートやミニステージが並ぶフリーエリア「VIVA LA GARDEN」も設営され、昨年はトータルで12万人の動員が発表されている。「ロックフェス」というと、体力が必要な若者文化のイメージが強いものの、基本的に屋内開催で休憩スペースが多く、フリーエリアで春の暖かな日差しも感じることのできる『VIVA LA ROCK』は、普段クラシックを聴く層にも入門編として最適だと言えよう。

 過去には星野源、サカナクション、Suchmosといった数多くの人気アーティストが出演し、記憶に残るライブを行ってきたが、今年の目玉のひとつがthe telephones。ボーカル・石毛輝のハイトーンボイス、ニューウェイヴ風のキャッチーなシンセサウンド、エネルギッシュなステージングによって、あらゆるフェスを盛り上げてきた2010年代を代表するロックバンドである。「We are DISCO!」を合言葉に、巨大なミラーボールの下、会場中のオーディエンスがハッピーに踊りまくる様はいつ観ても痛快の一言だ。

 埼玉出身の彼らは地域密着を掲げる『VIVA LA ROCK』との繋がりがとりわけ深く、初開催の2014年から2年連続でメインステージのトリを飾っているが、2015年の11月に同会場で行なわれた主催イベントを最後に、無期限の活動休止に入っていた。しかし、フェスの5周年を記念して、5月4日に2年半ぶりのライブを行うことが決定。過去2回の出演は「地元開催のフェス」に対する強い想いが伝わるものでもあり、やはり彼らにとってこの会場でのライブは特別。そんな想いも含めて、「体感」という言葉がこれほどまでに相応しいライブアクトは、他にいないだろう。

 the telephonesと並んでフェスの顔であり、4度目の出演となるサカナクションをはじめ、エレファントカシマシやスピッツといったベテランから注目の若手まで、今年も幅広いラインナップが集結。埼玉県在住、10代のための音楽選手権「ティーネイジサイタマ」の実施など、新たな試みにもトライしながら、ゴールデンウィークを熱く盛り上げる。

 

さまざまなアートが結びつく「CROSSING CARNIVAL '18」

CROSSING CARNIVAL
CROSSING CARNIVAL

 もうひとつご紹介するのは、4月22日に渋谷のライブハウス4会場を使って開催されるカルチャーWebサイト「CINRA」主催の「CROSSING CARNIVAL」。「二度は同じものが生まれない、この日限りの祝祭」をコンセプトに掲げ、昨年末に初めて開催されたこのイベントの特徴は、ミュージシャンと他ジャンルのアーティストとのコラボレーション。音楽フェス/イベントが増え続け、飽和状態とも言える中、映画・演劇・ファッションなど、あらゆるカルチャーを横断的に紹介するサイトの色を生かし、新たな体験を提供する。

 第1回では、パフォーマンスチームcontact Gonzoとコラボし、ノイジーかつシネマティックな演奏と、暴力的なパフォーマンスの組み合わせによって、演劇的な世界観を作り上げた7人編成の異色ダブバンド「あらかじめ決められた恋人たちへ」が非常に印象深い。エンジニア集団HGRNとコラボし、舞台に並べられた蛍光管が楽曲と同期して明滅するという未来的なライブを披露した女性シンガーと電子音楽家のデュオYoung Juvenile Youthのステージも、新鮮な感動を覚えるものだった。

yahyel
yahyel
yahyel
yahyel

 また、宇多田ヒカルや米津玄師のミュージックビデオを手掛けるなど、映像作家としても活躍する山田健人がVJとして参加し、最先端のクラブミュージックをバンドで体現するyahyelのライブも引き込まれるものがあった。プロジェクションマッピングなどの技術を用いて、視覚的にも楽しめるような演出は増えているが、「何を表現したいのか?」という想いが合致したステージというのは、特別な瞬間を作り出す。その意味では、バントとアイドルという枠組みを超え、お互いのガールパワーを発揮したCHAIとNegiccoの共演も、このイベントならではの一コマであった。

CHAIとNegiccoの共演
CHAIとNegiccoの共演

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