11月7日から音楽公演プログラムがスタート!

佐山雅弘の「面白そう」魂が息づくかわさきジャズ、細川千尋×山下伶×はたけやま裕もヒートアップ!

イベント
2019.10.31

9月から11月まで川崎市全域で開催される、かわさきジャズ 2019。昨年、競馬やクルーズなどの地域連携プログラムが大幅に増え、今年はさらに充実し深まった感もある。
ミュージシャン自らがトークするジャズアカデミーも盛況だ。10月18日に行なわれた3回目を取材すると、そこにも、かわさきジャズの根っこを支えるスピリットが息づいていた。

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ジャズアカデミー写真:各務あゆみ
取材・文
山本美芽 音楽ライター
山本美芽
取材・文
山本美芽 音楽ライター
ピアノ教育とジャズ・フュージョンを軸に執筆。音楽誌「ムジカノーヴァ」にて「教室改善プロジェクト」を連載中。ピアノ教本研究家として全国で講演を行う。著書「ピアノ教本ガイ...

かわさきジャズの醍醐味とは?

“ジャズは橋を架ける”をテーマに、川崎市内全域で開催される「かわさきジャズ2019」。大小のホール、プロからアマチュア、そして街や京浜急行の電車の中やクルーズまで、街全体がジャズに包まれるイベントだ。

川崎市観光協会とコラボして、ジャズとともに工場夜景を満喫できる「ジャズクルーズ」。©️Taku Watanabe
かわさきジャズ記念の冠レースが開催され、ジャズライブや食事が楽しめる「川崎競馬ジャズナイト」。©️Taku Watanabe
「川崎ジャズプレイヤーズフェスタ」では地元のジャズメンが集結!
ジャズやラテン、ロックなど、それぞれのスタイルで日本民謡を融合!「Neo Japanese Traditional Music」。©️Taku Watanabe

その中から今回は「ジャズアカデミー」を聴講した。この日は、講師が異なる全4回のトークや実演付きレクチャーの第3回目として、ピアニストの細川千尋、クロマチック・ハーモニカの山下伶、パーカッションのはたけやま裕という3人が講師。

11月15日(金)には、この3人によるライブ「Colorful JAZZ〜細川千尋 × 山下伶 × はたけやま裕」がラゾーナ川崎プラザソルで予定されており、そちらの予習ともなる内容だった。

3人のキャラクターが垣間見えたジャズアカデミー。本公演は「Colorful JAZZ〜細川千尋 × 山下伶 × はたけやま裕」11月15日(金)ラゾーナ川崎プラザソルにて。

実は3人は、このコンサートの依頼まで会ったことがなく、アカデミーの前日の夕方6時に「はじめまして」と初顔合わせ。かわさきジャズの事務局長、山本浩さんが直感で組み合わせて企画したのだという。

「この3人はピアノ、メロディ楽器、リズム楽器。ドラムセットではなくパーカッションなら音量バランスもいい。キャラクターや音楽性はそれぞれ違うけれど、音楽大学出身、クラシック出身で共通する面もある。面白そうだ」と。

演奏の時間は少しだけ、それよりはアーティストやジャズを身近に感じてもらう趣旨でコンサートにつなげる、そんな趣旨のジャズアカデミーなのである。

3人を引き合わせたのは、かわさきジャズの事務局長、山本浩さん。

初顔合わせの3人によるジャズアカデミー

前半はまず、3人がそれぞれの楽器を使ってレクチャー。

細川千尋は、影響を受けたジャズの巨人ビル・エヴァンスと、ドビュッシーやラヴェルといったフランス印象派の、作曲語法の共通点を話しながらピアノを弾き、ふっと部屋の空気が変わるような響きが満ちてくる。

クラシックを学んだ彼女ならではの透明感のあるピアノの響かせ方、柔らかいタッチをジャズに持ち込んだのが、細川の大きな個性。その片鱗を聴かせてくれた。

ジャズ・ピアニスト 細川千尋(ほそかわ・ちひろ)
富山県出身。昭和音楽大学大学院修了。現在、昭和音楽大学附属ピアノアートアカデミーに在籍。2013年、スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル・ソロ・ピアノ・コンペティションにて、日本人女性初のファイナリストとなる。イタリア、スイス、ベルギーでソロ・リサイタル、2017年・2018年に大阪交響楽団と共演。2017年11月ピアノトリオ編成でのアルバム『CHIHIRO』リリース。2019年2月紀尾井ホールにて「モーツァルト・ジャズ」と題し、クラシック曲のジャズ・アレンジを披露。
ビル・エヴァンスの演奏で知られる名曲をカバーしたり、アヴェ・マリアをアレンジするなど、ジャズとクラシックがクロスするアルバム『My variations』を2019年9月にリリース。

山下伶は、クロマチック・ハーモニカを持って登場。小さな楽器ながら4オクターブ以上、ヴァイオリンとほぼ同じ音域をカバーしていることや、レバーを使った半音の出し方など、詳しい楽器の構成を説明する。

さらにハーモニカの巨匠、トゥーツ・シールマンスの音楽との出会いや、ハーモニカの表現力に魅せられてフルートから転向した経緯も。ちょっとした短いフレーズに凝縮されたクロマチック・ハーモニカの豊かな表現力に、会場から「ほう」とため息が漏れる。

クロマチック・ハーモニカ奏者 山下伶(やました・れい)
埼玉県春日部市出身。桐朋学園芸術短期大学音楽専攻(フルート)卒業。卒業後、日本を代表するクロマチック・ハーモニカ奏者の徳永延生氏に師事。2014年 第34回F.I.H. JAPAN ハーモニカ・コンテスト総合グランプリ受賞。CD『Beautiful Breath』『Candid Colors』をリリース。自作曲「Sky Color」が日本テレビ系 news every. お天気コーナーテーマソングに採用(2017年12月〜2018年2月)。東方神起やシャンソン歌手クミコのレコーディングに参加。出身地、埼玉県春日部市に2019年4月開校する春日部南中学校の校歌、作詞、作曲を担当。

パーカッションのはたけやま裕は、多種多様な打楽器を操るのだが、この日はカホンの表現力について実演しながらレクチャーを進めた。

彼女オリジナルモデルのカホンは、理科室の椅子を思わせるシンプルな箱に見えるが、内部に響き線が8本張ってあり、それぞれペグで張りを調整できるとのこと、ドラムセットに匹敵する表現力をもつ。箱の角の部分、板の中央部分で違う楽器であるかのような音だ。

本来は大人数で演奏するようなサンバのパターンを、ひとりで叩きだすパフォーマンスには拍手喝采。シンプルながら奥深く、可能性を秘めた楽器であることがわかる。

パーカッショニスト はたけやま裕(はたけやま・ゆう)
岩手県陸前高田市生まれ、埼玉県育ち。国立音楽大学打楽器専攻卒業。卒業時に日本打楽器協会新人演奏会で最優秀賞にあたる特別受賞。自他共に認める落語女子。桑田佳祐、井上陽水、加藤登紀子、由紀さおり、辛島美登里、江口洋介、山下洋輔、古澤巌、上妻宏光(津軽三味線)等、サポートや共演多数。シシド・カフカプロジェクト「el tempo」メンバー。噺家の春風亭昇太師匠をゲストに迎え落語と音楽のコラボレーションライブや、 宮沢賢治作品にインスパイアされた曲を画家・蒲原元の映像とのコラボレーション作品として発表する。Decora43よりSignature Modelカホンを発売中。

トークも演奏もヒートアップ!

後半はまずジャズ・スタンダードの「いつか王子様が」を3人で演奏。音楽的なバランスもちょうどよい。途中、山下がソロをとっている間に細川がどんどん楽しくなっている様子で、そこから山下とはたけやまの演奏もヒートアップ。

演奏が終わってからのトークコーナーでは、乾燥する冬場の指先ケアといった、女子ミュージシャンによくあるネタで盛り上がる場面もはさみつつ、プロになると決意した瞬間を振り返り真面目に語る時間も。いまや人気ミュージシャンとして華々しい活躍をしている彼女たちの素顔が身近に感じられた。

会場からの質問で「昨日会ったばかりなのに一緒に演奏できる、そんなものなんですか?」と問われ、「ジャズだからそれができるんです」という言葉のあと、もう1曲スタンダードの「ワンノートサンバ」が演奏された。3人が互いに顔を見合わせて、さきほどの女子会トーク状態のとき以上に、音も表情も生き生きと会話している。

この日はスタンダードのみだったが、「Colorful JAZZ」のライブでは、それぞれの思い入れのある個性的な楽曲を持ち寄って演奏する予定だそうだ。

故・佐山雅弘の「面白そう」を形に

かわさきジャズの事務局長である山本浩さんによると、実はこの3人は、ミューザ川崎のホールアドバイザーを務め、昨年のかわさきジャズ公演の直前に惜しまれつつ他界したジャズピアニスト、佐山雅弘にゆかりのあるミュージシャンでもある。

細川は昭和音楽大学で佐山雅弘に薫陶を受けた。山下伶はデビュー前にミューザ川崎のオーディション制の若手発掘コンサートに応募していた。はたけやまは佐山と共演した経験があった。

「これまで、ミューザ川崎では佐山さんが『面白そうだね』といったことをたくさん形にしてきました。そうした意味で、この3人は佐山さんが『面白そうだね』と言った選球眼を潜り抜けている。そこは一定の安心感があります。その面から言えば、このコンサートも佐山トリビュートの一環の企画でもありますが、そこはあくまでも裏テーマということで、あまりその色が強くなりすぎてもね。佐山さんは楽しいのが好きな人でしたから」

ミューザ川崎のホールアドバイザーでもあった、ジャズピアニストの故・佐山雅弘。©️青柳聡

佐山雅弘は、ミューザで行なわれるさまざまなイベント、そして「かわさきジャズ」の立ち上げから関わる大きな存在だった。今年は11月16日(土)にトリビュートのライブ「My Favorite Songs〜佐山雅弘メモリアル・コンサート」が企画されている。

「佐山さんは境界をつくらない人でした。面白そうだね、というのが佐山スピリット。ジャズだとストライクゾーンが広くて、さまざまなコラボはやりやすい面はありますね」。そんなふうに「かわさきジャズ」のこれまでを、山本事務局長はしみじみと振り返る。

かわさきジャズでは、「3つの架け橋」、つまり市内外の人や地域、そして未来へとつながる架け橋となることをジャズフェスとして目指しており、ジャズを軸にしつつ、ボーダーレスに面白いものを追求するスピリットが溢れている。人々が集い、出会い、面白い時間を過ごし、何かが生まれ、次につながる。そんな場所なのだ。

11月7日から始まるコンサートのプログラムは、他ではないかわさきジャズならではラインナップ。なかでも、この2つをオススメしておこう。

楽器をもって集まろう!

エリック・ミヤシロ スペシャル・ビッグバンド コンサート&ジャンボリー

スーパー・トランぺッターのエリック・ミヤシロのビッグバンドを迎え、前半は完成度の高いプロの演奏を楽しみ、後半は一般の参加者がプロと同じステージに上がって、一緒に楽器を演奏する「ジャンボリー」。ジャズとブラスの垣根を取り払って楽しもうという企画である。

日時: 11月10日(日) 17:00開演
会場: 昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

チケット: S席4,000円、A席3,000円(学生各席半額)
プログラム:
【第1部】ビッグバンド・ジャズ 名曲コンサート
(予定曲目)Trains, Sir.Duke, Domingo ほか

【第2部】みんなで楽しむ大合奏
ブラス♪ジャンボリー in かわさきジャズ

(予定曲目)宝島、アフリカン・シンフォニー、ルパン三世のテーマ、ロッキーのテーマ、バードランド

※一般参加者60名(予定)とともに迫力ある演奏をお楽しみください

※ブラス・ジャンボリー参加者募集情報は終了しました

出演:
指揮&トランペット エリック・ミヤシロ
サックス 本田雅人、寺地美穂、小池修、鍬田修一、高尾あゆ
トランペット 小澤篤士、二井田ひとみ、田沼慶紀、山崎千裕
トロンボーン 中川英二郎、半田信英、石橋采佳、朝里勝久
ピアノ 青柳誠
ベース 川村竜
ドラムス  川口千里

詳細はこちら

熱い思いがこもった一夜

My Favorite Songs 佐山雅弘メモリアル・コンサート

昨年亡くなった佐山雅弘の追悼コンサートは、彼にゆかりのあった15名のミュージシャンが集結。ジャンルを超えて活動した佐山の多様な音楽性を伝えるべく、豪華3部構成でお贈りする。第1部は佐山が才能を見出した若手たちによるセッション、第2部は名物企画「ジャズピアノ6連弾」で共演してきた国府弘子をはじめとする4人のピアニストの競演、第3部はテナーサックスの三木俊雄率いるバンドに、ゲスト・ヴォーカルとしてMay.Jが共演。クラシック専用ホールであるミューザのアコースティックを生かし、PAはヴォーカル以外に使用しない。佐山さんも愛した生音の豊かな響きを感じてほしい。

日時: 11月16日(土) 17:00開演
会場: ミューザ川崎シンフォニーホール

チケット: S席6,000円、A席5,000円、B席4,000円(B席のみ学生半額)
※学生券は25歳以下対象。当日学生証を拝見する場合があります

曲目:
【第1部】Dead Zone P-Bop
*アルバム「Red Zone」より ほか
【第2部】かわさきリボーンブルース
ビバップ・トルコ行進曲 ほか
【第3部】
I Remember Clifford
Above Horizons ほか
※曲目変更の場合あり

出演:
第1部:~佐山雅弘が育てた若手ミュージシャン~
寺久保エレナ(as)、馬場孝喜(g)、中林薫平(b)、福森康(ds)

第2部:~ジャズ・ピアノ6連弾の仲間たち~
国府弘子、佐藤允彦、小原孝、塩谷哲(以上、pf)

第3部:~佐山雅弘トリビュートバンド~
三木俊雄(ts)、岡崎好朗(tp)、中川英二郎(tb)、佐山こうた(pf)、川村竜(b)、大坂昌彦(ds)
ゲスト・ヴォーカル:May J.

チラシ

詳しくはこちら

問い合わせ

かわさきジャズ2019実行委員会事務局

Tel.044-223-8623(平日10時~17時)

E-mail:info@kawasakijazz.jp

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