
毛利文香がイザイ無伴奏全曲に挑む「技巧的な華やかさだけではない魅力を届けたい」


東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
――昨年6月に恩師マルティン先生との共演、10月にエル=バシャさんとのデュオ、そして来る3月にとうとうイザイの無伴奏ソナタで、デビュー10周年リサイタル・シリーズの最終回を迎えます。これまでの2回を振り返っていかがでしたか?
毛利 マルティン先生もエル=バシャさんも、私がヨーロッパで出会ってたくさんの影響を受けた大切なアーティストですので、そのようなお二人と節目のリサイタル・シリーズで共演させていただけて、ほんとうに光栄でした。
改めてお二人の音へのこだわりや音楽家としての姿勢を間近で感じ、今後自分の音楽を磨いていく上で大きな糧となる貴重な時間でした。

桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマコース、洗足学園音楽大学アンサンブル・アカデミー修了。慶應義塾大学文学部卒業。これまでに田尻かをり、水野佐知香、原田幸一郎、ミハエラ・マーティンの各氏に師事。ドイツのクロンベルク・アカデミーを経て、ケルン音楽大学を最高点で修了。2012年第8回ソウル国際音楽コンクールで日本人として初めて、最年少で優勝。2015年パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール第2位、エリザベート王妃国際音楽コンクール第6位入賞。2019年モントリオール国際音楽コンクール第3位。横浜文化賞文化・芸術奨励賞、川崎市アゼリア輝賞、青山音楽賞新人賞、ホテルオークラ音楽賞ほか受賞多数。読売日響、東京響、東京フィル、神奈川フィル、大阪フィル、クレメラータ・バルティカ、ヨーロッパ室内管など著名なオーケストラと数多く共演。武生国際音楽祭、宮崎国際音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭などにも出演している。トリオ・リズル(弦楽三重奏)、エール弦楽四重奏団、ラ・ルーチェ弦楽八重奏団のメンバーとしても活躍。楽器は笹川音楽財団(旧・日本音楽財団)より、1717年製のストラディヴァリウス「サセルノ」を貸与されている。
©Sihoo Kim
イザイ「無伴奏」には、バッハに対する深い尊敬や親しみが感じられる
――イザイの無伴奏ソナタはいつか必ず挑戦したいと夢見ていたそうですが、初めて取り組んだのはいつごろ、どの曲からだったのでしょうか?
毛利 おそらく中学3年生の時に取り組んだ3番のソナタが、私にとって初めてのイザイの無伴奏ソナタだったと思います。その後、コンクールの課題曲であったことがきっかけで、高校生や大学生の時に、6番や4番を勉強しました。
――以前のインタビューで、「技巧的な華やかさだけではないイザイの魅力をお届けしたい」と語っておられます。技巧的な難易度が注目されがちですが、この作品の魅力について、各曲ごとに毛利さんのお考えをおきかせください。
イザイは、ヨーゼフ・シゲティによるバッハ「無伴奏ソナタ」の演奏を聴いたことをきっかけにこの作品を作曲したため、随所にバッハからの影響が見られます。たとえば、まさにシゲティに献呈された1番は、とても多声的で、曲全体を見渡すと大聖堂のような重厚感が印象的です。
一方で、3番や6番などは、それぞれの献呈先であるジョルジュ・エネスクやマヌエル・キローガらの出身地、ルーマニアやスペインの民族色を感じさせる要素があり、また違った特徴を持っています。
いずれにしても、献呈先である各ヴァイオリニスト(2番はジャック・ティボー、4番はフリッツ・クライスラー、5番はマチュー・クリックボーム)に対する、そして何よりバッハに対する、イザイの深い尊敬や親しみを感じられることが、この作品の技巧的な難しさを越えたところにある大きな魅力だと考えます。
偉大なヴァイオリニスト同士のつながりや歴史に思いを馳せて――
――無伴奏のみのリサイタルの場合、準備や心構えは、デュオのリサイタルと違う部分があったりするのでしょうか?
毛利 個人的には、無伴奏リサイタルでもデュオ・リサイタルでも、準備や心構えにおいてとくに異なるところはないと思います。
――最後に、お客様へのメッセージをお願いします。
毛利 イザイの無伴奏ソナタ全曲を演奏することは私にとって初めての挑戦ですが、お客様にとってもお聴きいただくチャンスはかなり少ないのではないかと思っています。
偉大なヴァイオリニストによって、次の世代のこれまた偉大なヴァイオリニストたちのために作曲され、今日までさまざまなヴァイオリニストによって弾き継がれてきた作品。その歴史や人と人とのつながりに思いを馳せながら、ヴァイオリンの魅力を楽しんでいただけるような時間になることを願っています。ご来場を心よりお待ちしております!
日時:2026年3月25日(水)19:00開演
会場:Hakuju Hall
曲目
イザイ: 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ op. 27(全曲)
第1番 ト短調
第2番 イ短調
第3番 ニ短調 「バラード」
第4番 ホ短調
第5番 ト長調
第6番 ホ長調
チケット:全席指定 一般 4,500円 U25(25歳以下) 3,000円
*消費税込
Hakuju Hallチケットセンターオンラインチケット予約
合同会社ノヴェレッテ TEL : 050-6878-5760 (月~土 10:00~18:00)
■水戸公演
日時:2026年3月15日(日) 15:00開演
会場:水戸奏楽堂
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