レイ・チェンが新たな楽器とともに来日!「今は常にオープンでいて新しいものを学んでいくタイミング」
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ヴァイオリニストのレイ・チェンが来日し、11月30日に開催されるリサイタルに先駆けてオーストラリア大使館で記者会見が行なわれた。
レイ・チェンは、自身がプロの音楽家を目指すきっかけとなったのは8歳のときに長野オリンピックに招聘されたことだと語り、日本への強い思いや、日本の文化と芸術に触れられる喜びを表した。
日本とのつながりの深さはそれだけでなく、現在の使用楽器であるストラディヴァリウス「ドルフィン」は、日本音楽財団から貸与されている。「ドルフィン」で演奏する初めての来日公演。レイ・チェンはこの楽器のことを「strong character」と表現し、「まるで自分の腕を証明してみて」と問いかけてくるかのようだと語った。
さらに、「このようなパートナーに巡り会えて嬉しい。各楽器には個性があり、パートナーのような存在で、人間関係を築くのと同じように、相手のことだけでなく自分自身のことも発見していくような過程があります。新しいパートナーシップを築くときというのは、新しいものを学んで成長につなげていくときだと思います」と続け、新たな楽器と生み出される音楽に期待が高まる。
質疑応答では、台湾で生まれオーストラリアで育ったことが自身の人格形成に与えた影響についても「オーストラリアは幅広くオープンに考えることを教えてくれました。とても開けた国で、広い空間があるからこそ、頭の中にもスペースができて創造性が生まれます。また、アジア人が少ない環境で育ったことから、自分は何者なのか、なぜここにいるのかなど、幼い頃から自問するようになりました。そして、なぜ? と問いかけることが普通になり、客観性が芽生えたと思います」と明かした。
11月30日に開催されるソロ・リサイタルでは、前半にはベートーヴェンとストラヴィンスキーというピアノを演奏する作曲家による、ピアノがリードする作品を、後半にはバッハの無伴奏パルティータやサラサーテの《ツィゴイネルワイゼン》をはじめとするヴァイオリンが主導する作品を演奏する。音楽的なテーマや様式の“対比”を楽しめるプログラミングを心がけたそう。「異なる組み合わせを大切にしています。そこから興味深い音が生まれるのです。ある意味、バランスが取れているプログラムだと思います」と意図を語った。
日時: 2022年11月30日(水) 19:00
会場: 東京オペラシティ コンサートホール
出演: レイ・チェン(ヴァイオリン)、フリオ・エリザルデ(ピアノ)
曲目: J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006、サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン、ほか
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