ニワトリも出演? 音楽のお通夜をする挑戦的なライブ配信「三輪眞弘祭・清められた夜」
1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...
岐阜・サラマンカホールが、インパクト満点な無料ライブ配信を主催する。
9月19日(土)22時に配信開始、23時開演、26時終演とされている「三輪眞弘祭・清められた夜」である。
「三輪眞弘の創作活動の集大成」と聞いただけで、現代音楽ファンは色めき立つだろう。しかも、映像・ダンス・詩・写真・オルガン・箏・古楽・ガムラン・霊界ラヂオ・人工音声・ニワトリ・聖なる粉100kg——といった、とんでもなく多様な要素が加わってくる。
一体何が起こるのか?
だが、このイベントは、アヴァンギャルドで奇天烈な面白さというだけではない。
全音楽ファンにとって関係のある、シリアスな性格を持っている。
それは、今回のライブ配信イベントが「音楽の終わりの終わり」とでも呼ぶべきこの状況における、「音楽による音楽のためのお通夜」として定義づけられているからだ。
プレイベントの「プロローグ『音楽の終わりの終わり』は、ここから始まる——」(8月28日に配信)では、作曲家・三輪眞弘のプレゼンテーションに始まり、岡田暁生(音楽学者)、前田真二郎(映像監督)、松井茂(詩人)、浦久俊彦(サラマンカホール音楽監督)も加わってシンポジウムがおこなわれた。
三輪眞弘の語る音楽観は、刺激的なものだ。
それは一言で言うなら、音楽とは「儀式であり奉納」「人間が人間のために演奏するのではない。もっと別の次元のものを共有する瞬間」でもあるべきだ、というものだ。
「芸術とは生きている人に向けて作られるものだけではなくて、すでに亡くなった人たちや、これから生まれてくる人たちの前でも恥ずかしくないものを作ること」という三輪眞弘の考えからすると、現代のアートはすべて「ショウ」であり「見世物」と化しているが、今回の「お通夜」はそれを「全否定するもの」という。
今回のイベントで使用するカメラは何と16台。イベント配信中は登録した視聴者宛てにメールで詩(松井茂・作)が届くというのも前代未聞。
サラマンカホールの公式サイトには、曲目解説や歌詞対訳など、さまざまな事前情報が掲載されている。ぜひ準備万端で「お通夜」に参加してみては?
日時: 2020年9月19日(土)22:00配信開始(スタンバイ)、23:00開演、26:00終演
会場: サラマンカホールにて無観客ライブ配信
料金: 視聴無料
曲目:
- 三輪眞弘 《鶏たちのための五芒星》(2020サラマンカホール委嘱 世界初演)
- ヨハネス・オケゲム 《死者のためのミサ曲》(15世紀)MIDIアコーディオンとオルガン版
- フォルマント兄弟 《霊界ラヂオ》+《ボイパと海行かば》(2020)
- 三輪眞弘 箏と風鈴のための《もんじゅはかたる》(2019)
- 三輪眞弘 《神の旋律+流星礼拝》(2020版)
出演:
- 川口隆夫(ダンス)
- 岡野勇仁、西村彰洋(MIDIアコーディオン)
- 塚谷水無子(オルガン)
- 江原優美香(箏)
- ほんまなほ(ルバブ)
- マルガサリ(ガムラン・アンサンブル):恵美須屋直樹、大井卓也、黒川岳、谷口かんな、中川真、西村彰洋、森山みどり
- 公募パフォーマー
- 6羽の鶏
出品作家:
- 作曲・企画・構成:三輪眞弘
- 映像監督:前田真二郎
- フォルマント音声合成:佐近田展康
- 詩:松井茂
- 写真:麥生田兵吾
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