インタビュー
2024.02.11
日仏を拠点に活躍する2人がワイン片手に音楽談義

務川慧悟×田所光之マルセル〈前編〉ピアノの音色をめぐるダイアローグ

日本とフランスを拠点とし、その活動もますます目覚ましいピアニスト、務川慧悟と田所光之マルセル。多忙な二人のスケジュールの合間を縫い、夢の対談が実現したのがクリスマス・イヴのパリでした。サン・ジェルマン・デ・プレのカフェでは、10年来の親友同士の本音がぶつかり合い、ワイングラスを片手に、熱くも刺激的な芸術論が繰り広げられました。

ききて・まとめ・写真
船越清佳
ききて・まとめ・写真
船越清佳 ピアニスト・音楽ライター

岡山市出身。京都市立堀川音楽高校卒業後渡仏。リヨン国立高等音楽院卒。長年日本とヨーロッパで演奏活動を行ない、現在は「音楽の友」「ムジカノーヴァ」等に定期的に寄稿。多く...

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パリの初日の出をモンマルトルの丘で見た思い出

——お二人ともパリ国立高等音楽院に在学されましたね。知り合われたのはそのとき? 

田所 僕らは二人とも愛知県出身なので、中学生の頃からお互いの存在は知っていたんです。

務川 うん、話したことはないけど、コンクール会場とかで、マルセルだーと思って遠くから見てた(笑)。

田所 それは僕のほうだよ(笑)。僕は高校を卒業してパリに行ったのですが、一時帰国の折に、共通の友人に紹介されて、東京藝術大学に在学中だった務川くんのお家に遊びに行ったときが、初めての出会いです。その後、パリに留学に来た務川くんの最初の年越しを共に過ごして、初日の出も一緒に見ました。モンマルトルの丘の頂上だったよね。

二人のプライベート・ショットから
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務川 学生時代は、本番前にお互いの演奏を聴きあったり、そういえば一緒に2台ピアノもしたね。ジョリヴェの《ホピ・スネークダンス》と、ルトスワフスキの「パガニーニの主題による変奏曲」。

——それはいつかぜひ聴きたいです!

田所 一緒にルーヴルやオルセー美術館を巡ったりすることもありました。細部の色彩を見ている僕に、務川くんは「もっと全体を見たら?」と違った視点に気づかせてくれて。「絵画とは、何度も見て、だんだんわかってくるものだから」と言っていたのを思い出します。

務川 そんなこと言ったかな?(笑)

——仲睦まじいですね!

田所 務川くんはいつも穏やかだけれど、一度だけ彼がイラッした姿を見たことが……(笑)

パリ音楽院時代、将棋アプリで対戦したことがあって、彼も強いのですが、そのときは僕が勝ったんですよね。それで「いえ〜い」とあおったら、務川くんがちょっと怒った……(と二人は大笑い)

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