インタビュー
2022.12.04

圧巻パフォーマンスの源  第3回 NiiiiiAさん(MYNAME)<前編>

歌、ダンス、演奏……超人的な圧巻のパフォーマンスで我々を魅了してくれるステージ上のアーティストたち。類い稀な才能のみならず、そこには裏打ちされた確かな技術と並々ならぬ努力がある。本連載では、そんな海外アーティストにフォーカスし、彼らのパフォーマンスの源を探っていく。

ふたり目のゲストは、韓国出身の男性ボーイズグループ「MYNAME」で、ソロアーティストとしても活躍中のNiiiiiAさん。日本語が堪能で、今回の取材はなんと通訳なし! 作詞作曲も手がけ、マルチな才能を発揮する彼の秘密に迫る。

長井進之介
長井進之介 ピアニスト/音楽ライター

国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学...

撮影/松橋晶子

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1989年1月30日生まれ、韓国出身。本名はイ・コヌ(Lee Gun Woo)。韓国の男性グループ「MYNAME」のリーダー、メインヴォーカルとして、2011年に韓国でデビュー。2012年3月より日本で活動を開始、同年7月に1stシングル『Message』(Japanese Ver.)で日本デビューを果たす。2019年にソロ活動名をコヌからNiiiiiA(ニア)に改名。今年10月には、約半月にも及ぶイベント「NiiiiiA ENCORE LIVE in JAPAN with HALLOWEEN EVENT」を開催するなど、日本でも意欲的に活動を続けている。2023年1月にはBIRTHDAYイベントを開催予定。詳細はホームページにて近日発表。https://niiiiia.com/
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2011年に韓国でデビューし、2012年からは日本でも活動している韓国男性アイドルグループ「MYNAME」。ダンス、歌唱力に優れ、韓国の人気R&Bデュオ「Fly to the Sky(フライ・トゥ・ザ・スカイ)」のメンバーで、ソロとしても活躍中のHwanhee(ファニ)がプロデュースしたことでも話題に。現在「MYNAME」はメンバーがそれぞれ異なる事務所に所属し、歌手やミュージカル、俳優など、個々の活動に専念している。

その「MYNAME」のリーダーで、メインヴォーカルを務めるコヌさんは、ソロ活動名を「NiiiiiA」に改名し、類まれなる美声を活かしてソロ歌手として活動中だ。1stソロMini Album『2Years』を今年8月にリリース。艶のあるハイトーンを活かした歌唱力はもちろんだが、全曲の作詞作曲を担当していることも注目される。

魅力的な美声に心を揺さぶられるソングライティング能力。一体どのようにしてこれらが作り出されていったのか? 常人には到底想像できない生活を送っていたのかと思いきや、意外にもシンプルなことの積み重ねであった。

自ら作詞作曲を手がけるのは ”いま”伝えたいことを届けるため

――ご自身初となるソロMini Album『2Years』が今年8月に発売されました。作詞作曲をすべてNiiiiiAさんが手がけていらっしゃるとは驚きました。

最初は楽器も弾けませんでしたし、打ち込みもできなかったんですよ。ですから、自分で歌って録音してということのくり返しでした。徐々に作曲ソフトの使い方や楽器演奏などを習得していった感じですね。

――少しずつ学ばれていったのですね。

はい。ただ作曲を始めてからは、創作することにどんどん興味がわいてきて、いまでは1日のうちに1時間だけでもパソコンに向かって作曲をしないといられなくなってしまいました(笑)。

グループで活動しているときは、まずプロデューサーから曲をいただいて、レコーディングして、パフォーマンスを披露して……という流れを日々くり返していました。もちろん、それはそれで楽しかったのですが、作詞作曲を始めてから、どんどん自分の中で最初から作品を作りたいという思いが強くなってきたんです。自分が心から本当に“いま”伝えたいメッセージを届けるにはそれしかないなと。そのため、最近は自分で作詞から作曲まで行なうことが多いです。

NiiiiiA 『2Years』

――『2Years』には、いまのNiiiiiAさんの想いがぎゅっと詰まっているわけですね!

そのとおりです。デビューしてからずっと、音楽に関われる時間は本当に幸せでした。でも、韓国では兵役制度があり、自分も当然行かなくてはいけません。2年という長い間、大好きな音楽と離れなくてはならなかったので、すごく不安でした。そんな日々の中で感じていたこと、悩んでいたことが原動力になって今回のアルバムが生まれたんです。

――確かに、楽曲を聴いていると、感動はもちろんなのですが、胸をギュッと掴まれるような切なさや痛みがありました。

兵役に行っても周りの人たちは親切でしたし、特別困ったことがあったわけではないんです。ただ、僕たちはデビュー前から多くの時間を一緒に過ごしてきましたし、みんなとても仲がいいので、兵役の2年間、環境の変化による不安や心細さは常にありましたね。そのあたりの想いや感じたことが楽曲を通して伝わったのなら嬉しいです。

――楽曲づくりにおいて、ご自身の気持ちを正直に届けることを大切にされているのですね。

もちろんコンサートやイベントのステージ上でMCをするときには、ファンのみなさんに気持ちを伝えるようにしています。それでも、もっともっと心の奥底に抱いている想いを届けるためには、いま自分が何を考えているのか、何をしているのか、どうしたいのかなど、本心を作品に込めることが必要だと考えています。

曲単体だけでなく アルバム全体の構成も大切に

――音楽に対する想いやファンのみなさんに対する愛情がたっぷり詰まったアルバム、音楽の緩急のバランス感覚が素晴らしいです。1曲1曲ももちろん素敵なのですが、アルバム全体を通して聴くことで、よりメッセージが深く伝わってくる気がしました。

そういっていただけるとすごく嬉しいです。同じような曲調のものを収録しただけでは、淡々としてしまって、表現の幅が少ないような気がしたので、全体のバランスはかなり考えました。構成を考えてトラックを作って、雰囲気をみて、修正して……。アレンジャーの方とは楽器の入れ方などもかなり相談しましたね。

――私は特にM5の「Call Me (0109X4X11XX)」が大好きなのですが、電話の着信音といった効果音の使い方や伴奏の音をかなり抑制するなど、さまざまなこだわりを感じました。

ありがとうございます! 初めて挑戦したジャンルの楽曲で、僕自身も好きなんです。「今の時代は携帯電話がないと何もできない」ということから着想を得て、大事にしている人や物がなかったら自分は何ひとつできないんだ、ということにつながっていき、この曲が生まれました。

音については、着信音の挿入はもちろん、パーカッションにもこだわっています。実は楽器じゃなくて、僕がテーブルを指で叩いた音を少し変換して使っているんですよ。

NiiiiiA 「Call Me (0109X4X11XX)」

――そうだったのですね。伴奏がシンプルなぶん、NiiiiiAさんの声が際立って、より切なさが感じられました。それで思ったのですが、NiiiiiAさんの声は、楽曲によってどんどん“色”が変わりますよね。表現力とひと言では語りきれない、細かな変化がたくさんあって驚きました。

あらゆる楽器の中でも、もっとも多く表現ができるのは“声”だと思っています。グループのときは5人いたのでいろいろな表現ができたのですが、ソロ活動では当然自分の声しかないので、さまざまな気持ちを込めることで変化をつけるようにしています。ライブで歌うときはその場の空気もかなり重要になってきます。

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