インタビュー
2021.07.24
田中彩子の対談連載「明日へのレジリエンス」Vol.6

ホラー漫画家・伊藤潤二が描く“美と影”——世界共通の恐怖の表現とは?

サステナブルな明るい未来のために活動されている方と対談し、音楽の未来を考えていくソプラノ歌手の田中彩子さんの対談連載「明日へのレジリエンス」。
第6回は、ホラー漫画家の伊藤潤二さん。伊藤さんのファンだという田中さんが、夏にオススメしたい作品の話や、クラシック音楽とのコラボ提案(!)をしています。摩訶不思議な恐ろしい世界……ぜひ暑い日にご体感ください。

サステナブルな音楽活動を模索する人
田中彩子
サステナブルな音楽活動を模索する人
田中彩子 ソプラノ歌手(ハイコロラトゥーラ)

3歳からピアノを学ぶ。18歳で単身ウィーンに留学。わずか4年後の22歳のとき、スイス ベルン州立歌劇場にて、同劇場日本人初、且つ最年少でソリスト・デビューを飾る。ウィ...

司会・文
高坂はる香
司会・文
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

写真:蓮見徹

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美しくて少しゆがんだものにゾクっとする

——田中さんは、もともと伊藤潤二先生のホラー漫画がお好きだったそうですね。

田中 昔からすごく好きで、『死びとの恋わずらい』や『人間失格』、『よん&むー』など、いろいろな作品を読ませていただきました。

『伊藤潤二傑作集4 死びとの恋わずらい』(朝日新聞出版/2011年)
幼いころ住んでいた街に母と戻ってきた娘が幼なじみの少年と再会する。その街には、霧の濃い夕暮れの四ツ辻に現れる、 魅惑の美少年の噂が……。
©️ジェイアイ/朝日新聞出版
『人間失格』 1〜3巻(原作・太宰治/小学館/2017年)
太宰治の名作『人間失格』をホラーに。隣人の幸福が理解できない。なのに、隣人の目が気になって仕方ない。そんな主人公・大葉葉蔵が必死で身につけたのが道化だった。上京した葉蔵は堀木に誘われ、非合法活動に参加する。活動に疲れた葉蔵はある女給と出会うが……
©️伊藤潤二/小学館
『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』(講談社/2009年)
伊藤潤二の実話のお笑い猫マンガ。日本のホラー漫画界を代表する作家・伊藤潤二=ホラー漫画家J。犬派だったJは、婚約者の希望で猫を飼うことに。外国種の仔猫むーと、呪い顔の甘えん坊猫よん。Jの想いとは裏腹に、猫は全くJになつかない……
©️伊藤潤二/講談社
『伊藤潤二傑作集1 富江<上>』(朝日新聞出版/2011年)
ドラマ化・映画化もされたデビュー作にして代表作。田中彩子さんが友人に似てると言われ、ファンになったきっかけの作品でもある。
©️ジェイアイ/朝日新聞出版

稲川淳二とコラボした「Wジュンジ 恐怖の朗読会『路地裏』」動画

田中 読んでいると、クラシック音楽がぴったりだと感じて、今日はいろいろなことをお聞きしたいと思っているんです。

伊藤 私はクラシック音楽の表層的なことしか知らないのですが、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、チャイコフスキーあたりは仕事をするときに聴いています。特にバッハは仕事の邪魔にならなくて、なかでもチェンバロの音が好きなので、よく聴きながら描いています。

実は昔、初めての短編連載のシリーズ名を考えていたとき、クラシックにちなんだ、“幻楽奇想曲”みたいなタイトルにしようと考えていたことがあるんです。クラシックにハマっている時期だったんですね。

結局、編集さんにイマイチだと採用されなかったのですが(笑)、今考えるとちょっとキザな感じがするので、やめておいてよかったかもしれません。そういうタイトルにしていたら、また漫画の内容も変わっていたでしょう。

伊藤潤二(いとう・じゅんじ)
1963年7月31日、岐阜県中津川市で誕生。高校卒業後、歯科技工士の学校へ入学し、職を得るも、『月刊ハロウィン』(朝日ソノラマ)新人漫画賞「楳図賞」の創設をきっかけに、楳図氏に読んでもらいたい一念で投稿。1986年、投稿作「富江」で佳作受賞。本作がデビュー作となり、代表作になる。3年後、歯科技工士を辞め、漫画家業に専念。「道のない街」「首吊り気球」「双一」シリーズ、「死びとの恋わずらい」などの名作を生みだしていく。1998年から『ビックコミックスピリッツ』(小学館)で「うずまき」の連載を開始。その後も「ギョ」や「潰談」など唯一無二の作品を発表し続け、2019年に英語版『伊藤潤二傑作集10 フランケンシュタイン』がアメリカのアイズナー賞最優秀コミカライズ作品賞を受賞した。2021年にも同じくアイズナー賞で、『地獄星レミナ』英語版が最優秀アジア作品賞を、さらに同作と『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』英語版で最優秀ライター/アーティスト賞を受賞。

——そのときはどんな曲をよく聴いていらしたのですか?

伊藤 チャイコフスキーのバレエ音楽 《白鳥の湖》とか、ヴァイオリン協奏曲とか。あとはオルフェウス室内管弦楽団が演奏する《弦楽セレナード》もよく聴いていました。

チャイコフスキー《弦楽セレナード》演奏:オルフェウス室内管弦楽団

田中 私、先生の作品を読むと、シェーンベルクの「清められた夜」を思い出すんです。美しいけれど、複雑で深い影や癖があるというか。

1899年にウィーンで作曲されたシェーンベルクの弦楽六重奏曲《浄められた夜》

伊藤 先日その作品を教えていただいて聴いたのですが、あのような美しい曲を連想していただけているとは、嬉しかったですね。私はあの曲から、ヒッチコックの『レベッカ』のような、ゴシック建築を舞台に奇怪な事件が起きる白黒映画を想像しました。

ヒッチコックのサイコスリラー映画『レベッカ』(1940)の予告編

田中 私はホラー漫画といっても全部が好きなわけではなくて、伊藤先生の作品のような美しさが残っているものが好きなんです。主人公の女性が美しく、絵もきれいで、そこから恐怖の物語が始まっていきます。やはり美と恐怖はつながっていて、そういう意味でクラシックとホラーには親和性があると思うんです。

単にきれいなものには人間らしさが感じられません。どこか少しゆがんだところがあるからこそ、惹かれるところがあります。見てはいけないものに触れるタブー感のようなものでしょうか。

クラシックの演奏も、つい完璧を求めてしまいますが、何か少しゆがんだものを感じたときにゾクッとして、惹かれるのではないかと思っています。

田中彩子(たなか・あやこ)
ソプラノ歌手(ハイコロラトゥーラ)。京都府出身、ウィーン在住。22歳のときスイス ベルン州立歌劇場にて最年少ソリスト・デビュー後、オーストリア政府公認スポンサー公演『魔笛』や、日仏国交樹立160周年のジャポニスム2018、UNESCOやオーストリア政府の後援で青少年演奏者支援を目的とした『国際青少年フェスティバル』などに出演するほか、音楽や芸術を通した教育・国際交流を行う一般社団法人「JAPAN ASSOCIATION FOR MUSIC EDUCATION PROGRAM」を設立。代表理事として次世代のためのプロジェクトを推進している。Newsweek『世界が尊敬する日本人100人』に選出。

伊藤 演奏家、指揮者によって、そういうゾクっとするものを引きだせる人とそうでない人がいるのでしょうね。私が初めて買ったベートーヴェンの「第九」のCDは、指揮者がストコフスキーだったのですが、最後の部分がケレン味たっぷりといいますか、そこで鳥肌の立つようなものを感じたんです。でも、他の指揮者で聴くとあっさり終わるものが多くて、同じ曲でも本当に違うものなんだと思いました。

ストコフスキー指揮ロンドン交響楽団 ベートーヴェン交響曲第9番《合唱付き》第4楽章

母はおもしろがって読んでくれた

——伊藤先生の作品は、絵が美しいなかに、体の中身が出てきてしまう場面などが描かれていたりしますけれど、声楽も体の中から出していくという意味で、何か共通項がありそうですね。

体の中身を描いた伊藤さんの作品の例

伊藤潤二『うずまき』(小学館/2010年)
女子高生・五島桐絵が生まれ育った黒渦町に、異変が起き始める。つむじ風が舞い、草木の枝葉がとぐろを巻き、火葬場の煙が渦を巻いて上がっていく……そして人間も。うずまきの呪いから助かるため、桐絵は町から脱出しようとするものの!?
©️伊藤潤二/小学館
伊藤潤二「恐怖の重層」
『伊藤潤二研究 ホラーの深淵から』(朝日新聞出版/2017年)に収録された作品。
©️ジェイアイ/朝日新聞出版

田中 歌は体が楽器ですからね。私も体の中を開けて見てみたいです(笑)。

伊藤 コロラトゥーラ・ソプラノというのは、とても珍しいそうですね。田中さんはご自分の声が特殊だということは、昔から気づいていらしたのですか?

田中 あまり気づいていませんでした。ただ、学校で授業中にしゃべっていると、私だけ怒られるということはよくありました。声が高いから響くんですよ(笑)。伊藤先生は、子どもの頃から絵や漫画を描いていらしたのですか?

伊藤 そうですね、保育園の終わり頃から、藁半紙にマス目を切って漫画のストーリーを書いていました。それから紙を糸で縫って冊子の形にしたものに漫画を描いて、単行本の真似ごとをやったりとか。

田中 その頃からホラーですか?

伊藤 そうです(笑)。二人の姉がホラー漫画が好きで、楳図かずお先生(1936-)と古賀新一先生(1936-2018)の作品が家にあったんです。当時流行っていたスポ根ものには一切興味を持つことなくホラーばかり呼んでました。
日野日出志先生(1946-)は、私が小学校高学年になってから出会いました。

伊藤さんが手元に置いているお気に入りのホラー漫画の一つ、日野日出志『毒虫小僧』。
©️日野日出志/ひばり書房

田中 そんな小さな子がホラー漫画を描いていても、ご両親は何もおっしゃらなかったですか?

伊藤 そこは自由にやらせてくれましたね。とくに母はおもしろがって読んでいました。

田中 それはすばらしいですね! 子どもがちょっと普通じゃないものに関心を持っていると、やめさせようとしたり、心配して止めたりすることも多いでしょうに。ではその頃から、体の中身が出るみたいなものを描いていたのですか?

伊藤 中身を出しはじめたのは、小学校6年生くらいの頃ですね(笑)。日野日出志先生の作品を知って衝撃をうけたのがきっかけだと思います。手製の冊子がだいぶたまってきたころ、同居していた叔母が捨てろというのでだいぶ処分してしまったのですが、体の中身が出ている初めての漫画は、今も残っていますよ。

自分がおもしろいと思うものが、海外の人の琴線にも触れた

田中 今までご家族からネガティブな言葉を言われたことはないですか?

伊藤 遊びでやっている限りは自由にやらせてくれていました。逆に、楳図賞で佳作に入って、本当に漫画家になろうとしているようだと知った途端、反対されましたね。当時、私は歯科技工士の仕事をしていたのですが、辞めるといったら、一番おもしろがって私の漫画を読んでいた母ですら、困った顔をしていましたよ。

田中 それでも、好きだと思ったら誰に何を言われてもやろうというお気持ちがあったのでしょうか?

伊藤 そうですね、かなり説教をされましたけれど、無視してやってしまったという感じですね。人生一度きりですから、可能性があるなら、できるところまでやったほうがいいと思って。

当時23歳くらいでしたけれど、歯科技工士と二足のわらじだったので、忙しくて食事もとらずに描いていたらどんどん痩せて体調も悪くなっていったんです。それできっと自分は40歳くらいで死ぬだろうから、それまで悔いのないように好きなことをやろうと思いました。

田中 伊藤先生は海外にもたくさんファンがいらっしゃいます。いわゆる一般受けする内容でないにもかかわらず、個性をそのままに、世界中に熱狂的なファンができる、その秘訣はありますか?

伊藤 私は自分がいいと思うように、おもしろいと思うものを描いてきただけなんです。読者のことは、たまに考えますけれど、正直あんまり考えていなくて。それがたまたま海外の方にも受け入れられたという感じです。私はアメリカの怪奇小説家のラヴクラフト(1890-1937)の影響を多大に受けているので、もしかするとそれによって、海外の方の琴線にも触れるのかもしれません。

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト著『インスマスの影―クトゥルー神話傑作選―』(南條竹則 編訳/新潮文庫/2019年)。頽廃した港町インスマスを訪れた私は、魚類を思わせる人々の容貌の恐るべき秘密を知る(表題作)。ラヴクラフトの創造した壮大な宇宙観に基づく小説群“クトゥルー神話”を七篇収録。

死や影を感じて表現する

——ところで、ホラー漫画では死が描かれることも多いですけれど、死というものはどのように捉えていらっしゃいますか?

伊藤 もう、一番恐ろしいことですね。死を体験した人は、当然何も語ってくれません。一番の未知の領域なので、わからないということに恐怖を感じます。ただむしろ、その前の苦しみのほうが嫌だというのが正直なところですが。

職業的には死後の世界を語ったほうがいいのかもしれませんが、死んでしまえば何もなくなると思っているほうです。

田中 たくさん描いているうちに、だんだん死を近くに感じたりしませんか?

伊藤 それはあるかもしれません。いつ死ぬかわからない、ということはよく考えています。

田中 私の場合、18歳でウィーンに留学して最初に感覚が変わったのは、死を近くに感じるようになったことなんです。当時は美しい街のなかにまだ戦争のあとが結構残っていて、ポスト戦争時代の影や、血なまぐさい歴史が感じられました。

いつかはわからないけれど、死はそこにある。そんな感じがするのです。だから、ああいうシェーンベルクのような作品が生まれるのでしょう。一方で日本にいると、日常から死にまつわるものが切り離されていて、その感覚が消え失せるんですよね。

でも、音楽には影が必要です。だからこそ、私はホラー漫画の影が恋しくなるのだろうと思います。

伊藤 私の場合は、子どもの頃のほうが死が怖かったですね。戦前生まれの伯母が教師だったので、戦争中の話をすごく私に聞かせてきたのです。

伯母の弟、つまり私の伯父にあたる人が、出征してどこで亡くなったかもわからないのですが、彼がセーラー服を着た若い頃の写真が仏間に飾ってありました。それが子ども心に怖くてね。男は戦争に行って死ぬんだと思って泣いたりしていました。戦争はもう終わっていると伯母が言ってくれるんですが、聞かないんです。友だちと遊園地で遊んでいても、ふとそういうことを思い出してしまう。怖がりだし、非常に暗い子どもでした(笑)。

——怖がりでも、ホラー漫画家になれるものなのですね?

伊藤 むしろ怖がりのほうが向いているのではないでしょうか。ホラー漫画家はみんなけっこう怖がりだと思いますよ。

田中 それではご自分で描いていらして、怖い!! と思われたりとか?

伊藤 それはないですね。自分の漫画は怖くない、全然ダメです……。むしろ、おもしろかったという感じなんじゃないかと思っていますけど。

田中 確かに、普通の怖いという言葉には当てはまらない感じはありますよね。後からくるというか、残り香がすごいというか。

伊藤 そう言っていただけるのが一番嬉しいです。私って、屋根裏部屋でドクロを傍に、ろうそくを立てて漫画を描いているみたいなイメージがあるらしいんですが、全然そんなことありませんので。普通の部屋の机で描いています(笑)。

田中 意外とコミカルなものもお好きだそうですね。

伊藤 笑いは好きですね。ギャグを思いつくと、ネタ帳に書きとめておいて、漫画で使ったりしています。子どもの頃は、ドリフや吉本新喜劇をいつも観ていました。私は岐阜出身で、東西のテレビが両方入ってきていたので。……そういえば、田中さんは京都ですよね。

田中 はい、私は土曜日は学校から帰ると、必ず吉本新喜劇でした(笑)。ホラーと笑いのように、両極端なものを持っておくということは大事なのでしょうね。

伊藤 先ほど、ウィーンの街には影があるというお話がありましたけれど、歌声にそういう影が反映されることはあるのですか?

田中 私はまだまだで、そのために努力しているところです。声って性格が表れやすいですが、私は昔から、竹を割ったような性格と言われることが多く、声もスパーンとしているので……もう少し色気がでるようにがんばりましょうと、いつも言われてきました。ただ、そのようにずっと影をテーマとして求め、苦労していることも、ある意味では影になりうるのかもしれません。

伊藤 ホラー漫画で影を出そうと思ったら、ひたすらペンで黒くしていけばいいですけれど(笑)、歌で影を出すのは難しそうですね。

田中 これは技術の問題ではなく、人生経験とイメージ力で声の色を変えるしかないのだろうと思います。その意味で、ホラー漫画の優れた作品を読むことも、私にとってとても勉強になります。実体験でホラーは味わいたくないですが、擬似体験できますから。

伊藤 それはあるかもしれませんね。「怖いもの見たさ」という言葉がありますが、将来何があるかわからないので、どんなことが起きても動じないように、怖いものを読んで身構えておこうという。疑似体験を求めることこそが、怖いもの見たさかなと思ったりします。

——では『首吊り気球』のように、例えば急に自分の顔の気球が空に浮かんでいても、ああ、これは知っていると落ち着いていられるという。

伊藤 私の漫画は、現実には絶対に起こりそうにないことばかりですので(笑)。

『伊藤潤二傑作集8 うめく排水管』(朝日新聞出版/2013年)に収録された「首吊り気球」のオンライン朗読

ホラーなクラシックのコンサートが実現する!?

——伊藤先生の作品は、ちょっと普通では思いつかないような恐ろしい設定で物語が展開する作品ばかりですが、そういったアイデアはどのように出てくるのでしょうか?

伊藤 歯科技工士をやっていた頃は、出勤中の車の中で5種類くらいパパっとアイデアが出ることもありました。今はそうはいかないので、なかなか大変ですけれど。

まずは、物事をいろいろな角度から見ることが大切ですね。そうすると、これはおもしろそうだとピンとくるものが見つかるので、あとは勘を頼りに突き詰めていきます。

田中 クラシック音楽漫画がたびたび話題になりますが、先生は、クラシックを題材にしたホラーを書かれるご予定は?

伊藤 私のクラシックの知識では難しいところもあるので、ご協力いただけたら(笑)。

田中 普通の漫画以上に、人間の裏側を覗くような部分が多いホラー漫画は、リアルのクラシックのコンサートと行ったり来たりする企画に似合うと思いますよ。クラシックの非日常性、壊してはいけない美しさが壊れる瞬間って、ゾクッとしますよね。ホラー漫画の登場人物が演奏するクラシックのコンサートがなど、おもしろいのではないでしょうか。ぜひよろしくお願いします!

伊藤潤二さんに最新刊『幻怪地帯』をプレゼントされる田中彩子さん。サインと一緒に描かれているのは、田中さんのイメージを少し投影した漫画のキャラクター「泣き女」。
対談を終えて

小さい頃も、今も、自分がいいと思うように、おもしろいと思うものを描いてきただけなんですとおっしゃる伊藤さん。国内外でたくさんの熱狂的なファンを持ち続けておられる作品の秘訣は、ご本人の一本筋の通った強い心があるからなんだなと感じました。このお話を読んで、やりたいと思うことはやり抜こうという勇気をもらえた方もたくさんおられると思います。貴重なお話をどうもありがとうございました。これからも素晴らしい作品を楽しみにしております。

そして、米漫画賞「アイズナー賞」の2部門を受賞おめでとうございます!!

田中彩子

対談の様子を一部動画にしました!

サステナブルな音楽活動を模索する人
田中彩子
サステナブルな音楽活動を模索する人
田中彩子 ソプラノ歌手(ハイコロラトゥーラ)

3歳からピアノを学ぶ。18歳で単身ウィーンに留学。わずか4年後の22歳のとき、スイス ベルン州立歌劇場にて、同劇場日本人初、且つ最年少でソリスト・デビューを飾る。ウィ...

司会・文
高坂はる香
司会・文
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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