インタビュー
2025.02.21
特集「ラヴェルとわたし」

チョ・ソンジン、ラヴェルを語る~全ピアノ作品の録音を終えて感じる唯一無二な存在感

2015年のショパン・コンクールで優勝以来、国際的な活躍を続けるピアニスト、チョ・ソンジンさん。ショパンをはじめとする録音もコンスタントに世に送り出していますが、2025年はモーリス・ラヴェルの生誕150年を記念してソロ・ピアノ作品全曲、そしてアンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団と共演したピアノ協奏曲集を2か月連続でリリースしました。ラヴェルの音楽との出会い、その魅力と難しさ、そして全作品を演奏した今感じていること......「チョ・ソンジンとラヴェル」を語ってくださいました。

取材・文
高坂はる香
取材・文
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

©BENWOLF.DE

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ラヴェル作品の全曲録音を通して表現したかったこと

——ソンジンさんの音は、ラヴェルにとても合っているように感じます。ご自身でもそう感じて、ピアノ・ソロ作品の全曲録音をされたのですか?

チョ・ソンジン(以下S.C) そんなことはないです(笑)。でも、ありがとうございます。

——初めて演奏した現代的な作品がラヴェルだったそうですね。

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S.C はい、11歳のときに「道化師の朝の歌」を初めて弾きました。その前にドビュッシーの「ベルガマスク組曲」を勉強していましたが、それよりもずっと現代的なスタイルで書かれています。和声がひじょうに進歩的で、技術的にもずっと難しいと感じました。まだ子どもでしたから、音の数が多いほど難しく感じましたし、曲を覚えるのにもかなり時間がかかりました。それでも、新しい音楽の言語に魅了されていました。今では、「難しい」ということに対する考え方が変わりましたけれど。

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