インタビュー
2024.06.25
ソリスト、N響コンサートマスターとして熱い注目を浴びるヴァイオリニストの素顔

郷古 廉に50の質問!〈後編〉音楽家でなければ何になりたかった?ハマっていることは?

この4月、30歳の若さでNHK交響楽団の第1コンサートマスターに就任した郷古廉さん。ソリストとして、コンサートマスターとして熱い注目を浴びるヴァイオリニストに、50の質問をぶつけてみました。後編では、舞台を下りたオフの姿に迫ります!

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

撮影=ヒダキトモコ

取材・編集=西脇朗子(ONTOMO編集部)

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音楽家ぐらいしかできないと思うし、これ以上のものってあるだろうかと思う

16  音楽家になっていなかったら、何になりたかった?

郷古廉(以下、G うーん……結構考えちゃいます。ちょっと後でまた質問してください。

17 ヴァイオリンを選んだ理由は?

G 覚えてはいないけど、2、3歳の時に初めてヴァイオリンの音を聞いて、やりたいと言ったそうです。だけど、自分ではあんまり覚えていない。きっとヴァイオリンの音が好きだったんですね。

18 他の楽器をマスターするなら何がいい?

G えーと……ピアノ。あと、ドラム。

――なんでドラムなんですか?

G 小さい頃、ヴァイオリンを始めるよりも前に、すごくドラムが好きで。

――へえー! 郷古さんのヴァイオリンの、リズムの切れの凄さはそこからきているのですね。

19 プロとして初めてのコンサートは?

G 初めてのリサイタルは、12歳の時に地元の多賀城で。初めて2時間のプログラムを弾きました。

――どんな曲を弾いたのですか?

G えーとね……。最初にエルガーの《愛の挨拶》を弾いて、パガニーニの「ソナタ」、ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲」、前半の最後が、確かバッハの「パルティータ第2番」を全部。休憩して、最後がベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」。全部暗譜で弾きました。

――その時の気持ちは覚えていますか?

G なんとなく。地元だったこともあって、すごく温かい雰囲気で楽しかった覚えがあります。

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20 自分の才能に気づいた瞬間は?

G えー!? はっきりいつというのは、わからないけれど……10歳前後かな。

ものすごく練習しないと弾けないような曲もなかったし。でも、その辺が頂点です。だんだん疑うようになっていますね。自分の才能ということに関しては。

――疑う?

G うん。だってその辺の年齢が、人の能力としてはいちばん差がある時期だと思うんですよ。

年をとっていくと、人間的な要素が合わさっていって、だんだん差はなくなっていく。

この年齢になってくると、「なんか俺、めっちゃ才能あるな」とか思うことはないですよ、全然。

21 音楽家になると決めた瞬間は?

G 気づいたらなっていた、というのが正しい。

――音楽家にしかなりようがなかった?

G  ほんとにそうです。音楽家ぐらいしかできないと思うし、他のことをやるということも考えられないですね。これ以上のものってあるだろうかと思うしね、本当に。

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