オリンピックのフィギュアスケート競技でメダルを多く獲ったクラシック作曲家は誰だ!?
冬季オリンピックの花形競技、フィギュアスケート。プログラムにクラシック音楽もよく使用されますが、今回は過去5大会の表彰台に上がった選手60組の中から、使用されたクラシック音楽を集計。頻繁に使用されていた順にご紹介するプレイリストです。
メダリストを一番多く輩出した作曲家は誰だ!?
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
フィギュアスケートとクラシック音楽は150年以上の密接な関係
冬季オリンピックの花形競技フィギュアスケート。バレエ出身のスケーター、ジャクソン・ヘインズ(1840〜1875)が、音楽ろダンスの要素を取り入れた「フリースケーティング」を1864年頃に考案して以来、フィギュアスケートとクラシック音楽は切っても切り離せない関係にあります(ヘインズ自身はベートーヴェンやシューベルトの音楽で滑っていたそうです)。
フィギュアスケートが本格的に注目され、テレビ放映も盛んになったこの20年、ダイナミックなジャンプ、華麗なステップ・スピンなどの名シーンとともに、音楽が耳に残っている方も多いのでは?
今回は、20年前の2002年ソルトレイクシティ大会から2018年平昌大会までの5大会で表彰台に上がった選手のプログラムから、クラシック音楽が使用されたプログラムを集めて、プレイリストにしてみました。
男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスの4競技に、それぞれショート/フリープログラムの計120プログラム。クラシック音楽が使用されたのは、50プログラムでした(今回は映画音楽・ミュージカル作品は除きました)。
その中から、使用頻度が高かった作曲家をランキング形式でご紹介します。ぜひ、名プログラムの数々を思い出しながらお聴きください!
選手名のあとのカッコ書きは(開催年・部門・メダルの色)です。
第1位 ジャコモ・プッチーニ(メダル7枚)
他の作曲家に倍近く差をつけた、堂々の第1位はイタリアのオペラ作曲家ジャコモ・プッチーニです。
内訳を見ると、遺作となった《トゥーランドット》が4人! 日本人初の金メダルとなった荒川静香選手のフリープログラムにも使われたので、記憶に残っている方も多いのでは?
歌劇《トゥーランドット》
申雪/趙宏博(2002ペア銅)
荒川静香(2006女子金)
宇野昌磨(2018男子銀)
隋文静/韓聰(2018ペア銀)
歌劇《トスカ》
イリーナ・スルツカヤ(2002女子銀)
エフゲニー・プルシェンコ(2006男子金)
歌劇《蝶々夫人》
申雪/趙宏博(2006ペア銅)
同率2位 ビゼー(メダル4枚)
同率2位は3名。1人目はフランスのオペラ作曲家ジョルジュ・ビゼー。代表作《カルメン》を使用したのが3組。全部門にメダリストがいる唯一の作曲家となりました。
歌劇《カルメン》
エフゲニー・プルシェンコ(2002男子銀)
ナフカ/コストマロフ(2006アイスダンス金)
アデリーナ・ソトニコワ(2014女子金)
歌劇《真珠とり》
龐清/佟健 (2010ペア銀)
同率2位 サン=サーンス(メダル4枚)
こちらもフランスの作曲家カミーユ・サン=サーンスが同率2位。オペラ、管弦楽曲、ヴァイオリン曲と多ジャンルの作品が愛されています。
交響詩《死の舞踏》
ティモシー・ゲーブル(2002男子銅)
デニス・テン(2014男子銅)
サン=サーンス:歌劇《サムソンとダリラ》
ジョアニー・ロシェット(2010女子銅)
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ
アデリーナ・ソトニコワ(2014女子金)
同率2位 ラフマニノフ(メダル4枚)
ロシアの作曲家セルゲイ・ラフマニノフの曲も4人のメダリストがチョイス! 惜しくも表彰台を逃しましたが、2014年ソチ・オリンピックの浅田真央選手がフリー・プログラムに選んだ「ピアノ協奏曲第2番」の印象が強い方も多いかもしれません。
ピアノ協奏曲第3番
ミシェル・クワン(2002女子銅)
申雪/趙宏博(2006ペア銅)
幻想小品集 op.3~「前奏曲《鐘》」
浅田真央(2010女子銀)
幻想小品集 op.3~「エレジー(哀歌)」
パトリック・チャン(2014男子銀)
同率3位 ヴィヴァルディ(メダル3枚)
ここからは同率3位の3名。
イタリア・バロックの作曲家アントニオ・ヴィヴァルディは、代表作「ヴァイオリン協奏曲集《和声と創意の試み》」〜「四季」が、3人のメダリストに選バレています。チャン選手と宇野選手は「冬」を、ランビエール選手は「夏」を中心にプログラミングしています。
ステファン・ランビエール(2006男子銀)
パトリック・チャン(2014男子銀)
宇野昌磨(2018男子銀)
同率3位 リムスキー=コルサコフ(メダル3枚)
ロシアの作曲家ニコライ・リムスキー=コルサコフの交響組曲《シェヘラザード》では、3組のアメリカのメダリストが滑っています。千夜一夜に基づいた、エキゾチックで壮大な音楽です。
ミシェル・クワン(2002女子銅)
イヴァン・ライサチェック(2010男子金)
デイヴィス/ホワイト(2014アイスダンス金)
同率3位 ショパン(メダル3枚)
ピアノの詩人、ポーランド出身のフレデリック・ショパンも、3名のメダリストがチョイス。荒川選手とメドベージェワ選手は、弦楽器にアレンジされた音源でした。
幻想即興曲
荒川静香(2006女子金)
バラード第1番
羽生結弦(2018男子金)
ショパン:夜想曲(遺作)第20番
メドベージェワ(2018女子銀)
獲得メダル2枚の作曲家5名
シューベルト
《白鳥の歌》〜「セレナーデ」
イリーナ・スルツカヤ(2002女子銀)
《エレンの歌》〜「アヴェ・マリア」
カロリーナ・コストナー(2014女子銅)
チャイコフスキー
バレエ音楽《くるみ割り人形》
サフチェンコ/ゾルコーヴィ(2014ペア銅)
バレエ音楽《白鳥の湖》
イリニフ/カツァラポフ(2014アイスダンス銅)
ジョージ・ガーシュウィン
「パリのアメリカ人」
ティモシー・ゲーブル(2002男子銅)
ピアノ協奏曲へ調
キム・ヨナ(2010女子金)
モーリス・ラヴェル
バレエ音楽《ダフニスとクロエ》
サラ・ヒューズ(2002女子金)
《ボレロ》
カロリーナ・コストナー(2014女子銅)
アラム・ハチャトゥリアン
劇音楽『仮面舞踏会』
浅田真央(2010女子銀)
ボロソジャル/トランコフ(2014ペア金)
獲得メダル1枚の11曲
イゴール・ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
イヴァン・ライサチェク(2010男子金)
ホアキン・ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
エフゲニー・プルシェンコ(2010男子銀)
J.S.バッハ/グノー:「アヴェ・マリア」
サラ・ヒューズ(2002女子金)
フランツ・リスト:「死の舞踏」
イリーナ・スルツカヤ(2006女子銅)
アストル・ピアソラ:「アディオス・ノニーノ」
キム・ヨナ(2014女子銀)
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